ロシア大使を囲む会~日ロはまだ充分に知り合っていない!
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今、安倍首相の訪ロ「プーチン大統領との首脳会談」が27、28日を軸に日程調整されている。その最中、4月20日の午後3時から参議院議員会館で「ロシア連邦特命全権大使・エヴゲーニー・ウラジミロヴィッチ・アファナシエフ閣下を囲む会」(主催:(特非)「知識の社」・国際未来科学研究所、(医)グランソール奈良、グランソール・インターナショナル(株))が開催され、日本とロシアの医療・観光・文化芸術交流の未来が語られた。
アファナシエフ大使はロシア外務省きってのアジア通で、プーチン大統領とも親しく、家族そろって大の親日家である。会場には日ロ交流に関心の高い著名人を含む約120名が参集した。ロシア大使館からはセルゲエーフ・ミハイル総領事ほか、文化・教育担当官、広報担当官の3名が大使に同行した。この時期にロシア大使が外の会合に出るのは珍しい
アファナシェエフ大使の紹介に立った、国際政治経済学者の浜田和幸氏(前参議院議員・元外務大臣政務官・知識の杜代表議員・国際未来科学研究所所長)は次のように挨拶した。
「本日は大の日本通で、親日家のアファナシエフ大使をお招きしました。この時期にロシア大使が外の会合に出るのはとても珍しいことです。なぜならば、現在ロシア大使館は直近に控えた「プーチン大統領と安倍首相の首脳会談」の準備で超多忙だからです。しかし、本日は日ロ交流に強い関心を持っている皆さまのために特別にお越しいただきました。日本とロシアの間にはさまざまな課題があります。それらの課題を乗り越えて、本日のロシア大使を囲む会が、日本とロシアの真の友好関係が深まる一助になれば嬉しく思います。現在中国からの訪日観光客は約600万人ですが、ロシアからの訪日観光客は約5万人です。同じく日本からの訪ロ観光客も約5万人です」ロシア人と日本人はまだ充分に知り合っていない
アファナシエフ大使は浜田氏の挨拶を受けて、次のように述べた。
「本日はロシアと日本がさまざまな分野でいかに友好的な関係を進めていくかについて、いろいろとお話したいと思います。相互の観光客が5万人程度というのは、両国の人口(記者注:日本は約1億2千万人、ロシアは約1億4千万人)を考えると、ロシア人と日本人はお互いにまだ充分に知り合っていないともいえます。ロシアと日本は隣国で、東京からウラジオストックまでは飛行機で約2時間40分です」自然が美しく、お会いする方々は皆とても明るい
「私はロシア南部(ロストフ・ナ・ドヌー市)生まれですが、高校卒業までは東シベリアのチタ市に住んでいました。その当時は、モスクワより日本・東京の方が近かったのです。日本に赴任して約5年目を迎えていますが、その間北海道から沖縄まで訪れる機会がありました。日本の印象は、自然がとても美しく、お会いする方々は皆すごく明るいということです」
モスクワには、日本料理店が約1,000軒あります
「一方ロシアですが、とても広い国土(記者注:日本の45倍、米国の2倍)で移動がとても大変です。モスクワ市とサンクトペテルブルク市は歴史的にも文化的にも、博物館、劇場、ギャラリーなどが整っており、海外からたくさんの人がやって来ます。モスクワには日本料理店が約1,000軒ありますが、東京にはロシア料理店は約30軒しかありません。この分野でもお互いに協力できる可能性は高いと思います」
「遠くの親戚より近くの隣人」という諺があります
「確かにロシアと日本の歴史には複雑な期間も長くありました。しかし、本や映画などにはあまり反映されていませんが、友情と平和の時代の方が長かったことは確かな事実です。ロシアには「遠くの親戚より近くの隣人」という諺があります。日本はロシアの隣国で切っても切れない関係にあります。現在ロシアと日本の間には平和条約は締結されていません。しかし、今、やっと両国は正しい方向に向かい始めたことを感じています」
「日本では古典的なロシアの作家(チェーホフやドストエフスキーなど)やロシアの美術・劇場などの人気が高いことはよく知っています。現在、六本木の森アーツセンターギャラリーで「大エルミタージュ美術館展」(3月18日~6月18日)が開催されています。これだけの作品が東京で見れるチャンスはなかなかないと思います。ぜひ、ご覧になってください。また、6月初めにはボリショイ劇場のバレー団が東京を訪れます。こちらも、ぜひお出かけ下さい」両国相互の観光客が増えない理由に「ビザ」がある
大使の話に続いて、セルゲエーフ・ミハイル総領事からロシア観光についての話があった。そこでは、隣国であるにも拘わらず、両国相互の観光客が増えない理由に「ビザ(査証)」が障害になっているとの指摘もあった。
続いて、参加者とのQ&Aに移った。ロシア側の発言では以下の点に注目したい。
ロシアは外国人観光客には魅力的な国になりました
「ロシアは今観光ブームになっています。2014年の原油価格の下落でルーブルが暴落、ウクライナ情勢をめぐる欧米のロシア制裁も加わり、ロシア人の観光・出国が減りました。そのため、国内観光のインフラ整備が進み、逆に外国人観光客には魅力的な国になりました。大都市では、すべての地下鉄、すべての喫茶店に無料Wi-Fiが整備されています。タクシーも便利になりました。治安もユーロッパの大都市より安全です」(セルゲエーフ・ミハイル総領事)
お互いにもっと実際に交流し合うことが大事
「現在、ようやくロシアと日本の両国発展の兆しが見えてきました。相互信頼を強化して平和条約締結に駒を進めるときだと思います。そのためには、お互いにもっと実際に交流し合うことが大事だと思います。なぜならば、新聞、テレビの報道だけを見ていると、現状の理解を誤ってしまうことがあるからです。ロシア国内にも、日本国内にもいろいろと複雑な事情・都合があります。しかし、大事なのは、人間としてお互いが理解し合っていくことだと思います」(アファナシエフ大使)
最後に、日本からロシア側(アファナシエフ大使に)に日本人形、ロシアから日本側(浜田和幸氏に)に絵画が送られ、約2時間におよんだ、囲む会は盛会のうちに終了した。
【金木 亮憲】
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