世界で加熱する新技術開発競争(1)
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国際政治経済学者 浜田 和幸 氏
2020年の東京オリンピック・パラリンピックが間近に迫ってきた。築地市場の移転問題が未解決のため、オリンピック道路の建設に支障が出ているが、こうした問題を一挙に解決してくれそうなのが、空飛ぶ自動車である。
トヨタ自動車は「スカイドライブ」と命名した空飛ぶ自動車の普及を狙い、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開会式に行われる聖火点灯を、この空飛ぶ自動車を使った演出で盛り上げる準備に余念がない。これまで欧米や中国の自動車メーカーがしのぎを削ってきた空飛ぶ自動車であるが、ここにきてトヨタ自動車が一歩リードする展開が見られるようになった。
徳島大学やガンホー・オンライン・エンターテイメントなどとの共同開発が急ピッチで進んでいる。2018年中には開発を終え、商業化への弾みをつけるべく、東京オリンピックの晴れ舞台を最大限に活かそうとの目論見であろう。夢物語のようだった空飛ぶ自動車が現実のものとなりつつある。まさに、「人間が想像できるものは必ず実現する」というわけだ。
実は、こうした未来の自動車を動かすエネルギー源の開発にも拍車がかかっている。太陽光パネルで疾走する自動車レースをご覧になった方も多いだろう。また、このところ関心が寄せられているのは砂漠の砂を動力源にする自動車の構想だ。砂からシリコンを抽出し、自動車を走らせるというわけで、現時点ではアメリカの電力会社が開発競争の先頭を走っている。欧米の投資家の間でも、中東諸国の王室にとっても、石油が枯渇する時代を見据えて、新たな資源として「砂」への関心が高まりつつある。すでに、世界初の砂エネルギーで走る自動車レースの準備が始まっている。
中東諸国に広がる広大な砂漠が巨万の富を生む可能性が出てきたわけだ。サウジアラビアの副皇太子も2030年までに「脱石油社会への移行」を国策として掲げているが、砂漠の砂をエネルギーに転換する構想には重大な関心を寄せ、アメリカ企業との連携に並々ならぬ熱意を示しているという。
(つづく)
<プロフィール>
浜田 和幸(はまだ・かずゆき)
国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鉄、米戦略国際問題研究所、米議会調査局等を経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選を果たした。11年6月、自民党を離党し無所属で総務大臣政務官に就任し、震災復興に尽力。外務大臣政務官、東日本大震災復興対策本部員も務めた。
今年7月にネット出版した原田翔太氏との共著『未来予見〜「未来が見える人」は何をやっているのか?21世紀版知的未来学入門~』(ユナイテッドリンクスジャパン)がアマゾンでベストセラーに。関連キーワード
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