巨額のM&A案件がとん挫した。日本郵政(株)が、かねてから報じられていた野村不動産HDのTOB(株式公開買い付け)による買収を断念した。
当サイトでも取り上げていたが、日本郵政は旧・郵政省時代から全国に保有する不動産を収益源として活用するために、今回のM&Aを計画していた。野村不動産HDの大株主である野村ホールディングスともすでに調整済みとのことで、巨額のM&Aに不動産業界など関係業界には大きな衝撃が走った。
しかし結局、買収金額が折り合わず撤退を余儀なくされたかたちだ。西室泰三前社長時代の2015年に買収した豪州のトール・ホールディングス(HD)の経営悪化で、およそ4,000億円の損失を計上。17年3月期の決算が初の当期赤字に転落したことも、社内外の慎重論に拍車をかけたことは間違いない。
野村不動産HDは19日、「企業価値の維持向上の観点から、日本郵政による当社株式の取得について、検討して参りましたが、今般、当該検討を中止することになりました」と発表した。巨額M&A案件は、これで幕引きとなるのだろうか。
【深水 央】
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