腑抜けの集団の自民党、勢力とはいえない野党(前)
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SNSI・副島国家戦略研究所 中田安彦
2017年7月25日
安倍政権の支持率が急低下を続ける中、24日、25日の2日にかけて、安倍晋三総理大臣を交えての国会の閉会中審査が開かれ衆参両議院の予算委員会では、「加計学園」問題や、南スーダン派遣の自衛隊の日報非開示をめぐる稲田朋美大臣の対応をめぐる問題を中心に集中審議が開かれた。
この集中審議の私の感想はと言えば、安倍晋三という男はどこまで国民を舐め腐れば気が済むのか、というものだ。それでも今のところはこのどうしようもない安倍政権に日本国民は付き合わされるのだ、という諦めに満ちた思いである。稲田大臣と防衛省の隠ぺい体質にも怒りを通り越してあきれるほかはない。
まず内閣支持率を見ていく。都議選が終わって、安倍政権の支持率が急低下している。毎日新聞と日経新聞の世論調査を見てみよう。毎日の最新の世論調査では、内閣支持率は、支持率は26%で、6月の前回調査から10ポイント減。不支持率は12ポイント増の56%。日経は、21日から23日の調査で、支持率は39%であるものの不支持率が2012年12月の第2次安倍政権発足以降で最高の52%となっている。それぞれ、「いえない・わからない」層もいるが、それでも毎日と日経といった論調の違う新聞で不支持率が過半数を超えるということは安倍政権への国民の不満がマグマのように溜まっていることがわかる。安倍首相の40年来の友人が理事長を務める加計学園が、国家戦略特区の枠組みを活用して愛媛県今治市に獣医学部を新設することについての決定プロセスが、首相官邸によって政治的に歪められたのではないかという問題についても、初日の衆議院の質疑で安倍首相から、「今年の1月20日に至るまで加計学園が獣医学部を設置しようとしていたことは知らなかった」とする信じがたい答弁が帰ってきた。朝日新聞(2017年7月25日・朝刊)を引用する。
■加計申請「1月20日知った」 首相答弁、野党は疑問視
24日の衆院予算委では、安倍首相が、国家戦略特区を活用した加計学園の獣医学部新設計画の申請を知った時期などが新たな焦点に浮上した。首相は政府の国家戦略特区諮問会議で加計学園を事業者とすることを正式決定した「今年1月20日」と初めて明言。対する野党は「昨年秋以降、諮問会議で関係者から意見聴取をしており、首相が知らなかったとは考えにくい」とみる。
質問に立った民進党の大串博志氏は、首相と同学園の加計孝太郎理事長が2013年から16年に食事やゴルフを計14回するなどの仲であることから、「にわかに信じられない」と指摘した。民進の玉木雄一郎氏は「今の答弁が偽りであれば責任を取るか」と首相に迫った。
今年6月中旬の参院予算委で、社民党の福島瑞穂氏が加計学園の獣医学部新設計画について「いつから知っていたのか」と質問したのに対し、首相は「国家戦略特区ではなく構造改革特区で申請されたことについては私は承知していたが、その後に私は(特区諮問会議の)議長を務めているので、国家戦略特区に申請すれば私の知りうるところとなる」と答えていた。
安倍首相は国家戦略特区諮問会議の議長であり決定権を有する立場だ。これまで、この決定権者である総理大臣が、その友人に便宜を図ったのではないかという追求が国会で行われて行きた。その時、安倍首相は福島瑞穂・社民党参議院議員の3月の参議院予算委員会での質問には、次のように啖呵(たんか)を切っていた。
<彼は私の友人ですよ、ですから会食もします、ゴルフもします。でも、彼から私頼まれたことありませんよ、この問題について。ですから、働きかけていません。これはっきりと申し上げておきます。働きかけているというのであれば、何か確証を示してくださいよ。で、私はね、私は、もし働きかけて決めているのであれば、やっぱりそれは私責任取りますよ。当たり前じゃないですか>(2017年3月13日)
安倍首相は森友学園が設置しようとしていた私立小学校のための国有地格安払い下げをめぐる疑惑を問いただされたときも、似たように、「私や妻が関係していたということになれば、これはもうまさに総理大臣も国会議員も辞めるということははっきり申し上げておきたい」と断言している。
ところが、24日、25日の国会では、いきなり「獣医学部新設計画の申請を知ったのは加計学園を事業者とすることを正式決定した今年の1月20日」だと言ったのである。今治市に国家戦略特区で獣医学部を作ろうとしていた事は知っていたけれども、その事業主体が加計学園であることは知らなかった、というのだが、こんな稚拙な嘘を国会の場で堂々と言ってのける総理大臣を私は初めて見た。あまりにもふざけている。これまでの国会での質疑をみれば明らかなように、今治で獣医学部を作ろうとしていたのは加計学園だけであり、加計はすでに去年の11月にボーリング調査も実施している。知らなかったでは通らない。
百歩譲って、安倍首相と加計学園理事長が何らの面識がない関係だったら、申請者である事実を知らなかったでも通るだろうが、加計氏と安倍首相は、長年の友人であり、国家戦略特区諮問会議での議論が進むさなかに、何度も加計理事長とゴルフや会食を重ねている。16年夏以降、安倍首相は計6回も加計理事長と会っているらしい。そもそも安倍首相はかつて加計学園系列の学校の記念式典で挨拶をしたこともある。何度も会っているときに、獣医学部の話が全く出なかった、と言われる方が嘘にみえる。こういう場合には、「彼が獣医学部を作ろうとしていたことは知っていた。しかし、国家戦略特区の決定権者である立場上、彼には協力はできない、と伝えていた」と(嘘でも)答弁するのが普通だ。
また、安倍首相は、利害関係者である加計理事長から、「私がごちそうすることもあるし、先方が持つ場合もある」と、食事をおごってもらったこともあることを24日の衆議院で答弁しており、これは「大臣規範」に抵触するとの指摘もある。普通に考えて、利害関係者との接触は控えるべきだろう。
(つづく)
<プロフィール>
中田 安彦(なかた・やすひこ)
1976年、新潟県出身。早稲田大学社会科学部卒業後、大手新聞社で記者として勤務。現在は、副島国家戦略研究所(SNSI)で研究員として活動。主な研究テーマは、欧米企業・金融史、主な著書に「ジャパン・ハンドラーズ」「世界を動かす人脈」「プロパガンダ教本:こんなにチョろい大衆の騙し方」などがある。関連キーワード
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