被災地を笑顔にする一杯のかき氷 日本の底力を見た
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「お疲れ様でした。カキ氷いかがですか」――朝倉市災害ボランティアセンターで大きな声がこだまする。声の主は「福岡フィフティーライオンズクラブ」と「福岡中央ライオンズクラブ」のメンバーだった。出入り口に設置されたテントから元気な声と冷たいかき氷が、災害ボランティアに届けられた。
「炎天下の作業で疲れ切ったボランティアをねぎらいたい」――そう思い立って、7月30日、両ライオンズメンバーが企画したものだ。当日は朝10時ごろからスタンバイ。ボランティアが戻り始めた午後3時過ぎから氷を削る機械はフル稼働だ。泥にまみれ、汗だくのボランティアが列をなしていた。
「あー生き返る。うまい」――作業で疲れ切った表情が一杯の清涼で蘇る。格別な味になったのは言うまでもないだろう。テント周辺はかき氷をほおばる人の笑顔であふれていた。
当日作業に参加したボランティア数名に話を聞いた。
北九州市から来た男性は「休みはゴロゴロするだけ。何か役に立ちたいと思って」と話してくれた。福岡市と甘木町から参加したという友人同士は「今日初めて参加した。普段は遊び仲間だが、こんな経験も悪くない」と汗をぬぐう。
また当日が3回目の参加となる福岡市の男性は「家屋や道路の泥をかき出し捨てる作業。3回目だが、まだまだ人が足りない。進んでいるが、被害が大きすぎる。少なくとも半年はかかるのでは?」と復興までの長期化を予測していた。
自然と挨拶、会話が生まれる空間となっていたボランティアセンター。同じボランティア同士で労い、握手で別れる姿も見かけられた。気温35度の過酷な環境での作業を終え、疲れ切っているのに、なぜかみんな笑顔だ。国際競争力を失ったと言われて久しい日本。被災地で日本の底力を見た気がした。
【東城 洋平】
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