設立45周年、新たなる挑戦　次世代建築分野へ進出する（後）

照栄建設（株）

建築の新たな境地を開く

　そのようななか同社は、冨永新社長の体制になり、新たな挑戦を実施することとなる。その挑戦とは、空気の温度を操作せずに、人の体感温度を操作する次世代型冷暖システム「光冷暖®」を採用したRC工法の賃貸マンションを提供するというものだ。

　光冷暖®は、健康・美容およびエコロジー、ライフスタイルの提案や商品・添付展開を手がけるAnny Group（アニーグループ。本社：福岡市博多区、二枝崇治代表）のKFT（株）が開発した室内環境調整システムである。その仕組みは、建物内に遠赤外線（光エネルギー）を放吸射することで冷温水が循環するラジエーターを設置。また、壁・天井・カーテンとラジエーターの表面に特殊なセラミック加工を行う。遠赤外線が、壁・天井と共振・共鳴することで、優れた冷暖効果を発揮。この遠赤外線の活用により、エアコンなしでも居室内を一定の温度に保つことができ、1年中快適な環境で過ごすことができるようになるというものだ。ただし、ラジエーターの設置は、住居内のどこに取り付けてもいいというものではない。「これは、建築分野の知識と経験が必要なのです。それぞれ当該の建築物の構造や工法、間取りなどによってラジエーターの設置場所を決めていきます」（冨永代表）という。壁・天井、ラジエーターそしてヒートポンプシステムの三位一体で、住居内の室温が快適な一定温度が保たれる。そして光冷暖®は遠赤外線と輻射熱を活用した冷暖システムで、エアコンのような送風は一切なく、それによってホコリやチリがほとんど発生しないことも特徴である。

　光冷暖®は、「冬は沖縄、夏は北海道」とするコピーで、冬は20℃、夏は28℃前後の室温をキープする。湿度は、40～60％の範囲だ（建物の構造、断熱、窓の種類と大きさなどの諸条件により、室温と湿度は異なる場合がある）。05年から立ち上がった光冷暖®は、今日まで国内で1,000件の採用実績を上げ、戸建住宅をはじめ幼稚園・保育園や学校などの教育施設、医療施設、オフィスビル、店舗、バスターミナル待合室など幅広いジャンルで活用されている。実際に使用しているユーザーの声は、「とても良質な睡眠で目覚めが良い」「仕事の効率が格段に向上した」「玄関から入ると、冷え過ぎず暑過ぎない爽やかな感覚を覚える」「結露がほとんど発生せず、カビの心配が解消される」「あまり水を与えていなくても、植物や草木が成長し続ける」「ヒートショックを引き起こすような建物内の温度差がほとんどない」など、省エネとエコだけでなく、健康で快適、そして清潔な建物の環境をつくり出すのである。14年度に環境大臣賞（技術開発・製品化部門）を受賞し、世界58カ国で特許取得済・出願済の優れた次世代の室温調整システムだ。

　同社が、光冷暖®を活用したRC工法の賃貸マンションを提供するのは、国内初の事例となる。同社が事業主で貸主・管理を同社関連会社の照栄不動産（株）が行い、さらに西部ガス（株）、（株）ハウスメイトパートナーズ、そしてアニーグループの共同プロジェクトである。

　第1弾は、早良区室見に30戸の1Rマンション『A-style 室見』が9月に竣工する。続けて年内をメドに東区香椎にも光冷暖®の賃貸マンションが竣工する。

　「人は1日の50％は家に居ます。だから、本当に健康な家づくりを行いたい」（冨永代表）。同社と冨永新代表の、新たな建築への挑戦が始まる。

（了）
【河原　清明】

＜COMPANY INFORMATION＞
代　表：冨永　一幹
所在地：福岡市南区向新町2-5-16
設　立：1972年6月
資本金：7,000万円
売上高：（17/5）138億8,387万円
ＵＲＬ：http://www.shoei-k.com​