九州地銀の2018年3月期(第1四半期)決算を検証する(6)
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3.九州地銀(18行)の自己資本比率について
(1)グループの順位について
【表1】のグループ順位表を見ていただきたい。
この表から見えるもの
・トップは九州FG(肥後銀行・鹿児島銀行)で、ダントツの12.44%。2位は西日本FHで9.55%。3位はふくおかFGで9.09%。いずれも国際基準(バーゼルⅢ)の8%をクリアしている。
◆海外拠点について
・北九州銀行を傘下に持つ山口銀行は【表2】の通り、韓国に釜山支店、中国に青島支店、大連支店の計3支店と香港に駐在員事務所を開設している。
・福岡銀行は、アジアでは中国の大連・上海・香港をはじめ、台北(台湾)、バンコク(タイ)、ホーチミン(ベトナム)、シンガポールの7カ所とニューヨーク(米国)に1カ所。計8つの海外駐在事務所はあるが、支店は開設していない。
・西日本シティ銀行も上海・香港・ソウル(韓国)・シンガポールの4カ所に駐在員事務所。また大分銀行は香港、九州FG傘下の肥後銀行と鹿児島銀行はともに上海に事務所を開設している。・九州は人口の減少に伴い地域経済は縮小している。九州はアジアの玄関口。そのため取引先企業の多くは市場規模が拡大している東南アジアへの進出を図っており、それを支援するために各行は海外事務所を開設しているといえる。
◆今後九州はふくおかFG・九州FG・西日本FHを核に経営統合が進むものと見られている。海外に支店を開設するためには、自己資本比率は大きな意味を持っている。まず親会社であるふくおかFG・九州FG及び西日本FHの自己資本比率が8%であることが前提条件となる。また支店を開設する銀行も8%を超えることが条件となっている。はたして先陣を切って海外支店を開設する銀行はどこなのだろうか。
(2)九州地銀(18行)の順位表について
・前期トップは肥後銀行で11.71%。2位はふくおかFGとの経営統合が破綻した十八銀行で11.41%。3位は鹿児島銀行で11.28%。6位の宮崎太陽銀行までが10%以上となっている。
・17年6月期の自己資本比率を公表しているのは、九州地銀18行のうち13行。しかし南日本銀行、佐賀共栄銀行、筑邦銀行、佐賀銀行、福岡中央銀行の5行は自己資本比率を公表していない。そのため自己資本比率の開示を求めると、中間決算や本決算ではないからとの回答を受けた。もともと自己資本比率が低い銀行であり、裏返して見れば、海外進出は毛頭考えていないということなのだろう。
九州の大手地銀は顧客の要望に応え、かつ将来を見据えた戦略として今こそ東南アジアを主体に海外支店の開設を進めるべき時季ではないだろうか。まさに機は熟しているといえよう。
(了)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】※クリックで拡大
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