2024年12月23日( 月 )

建設業の人材確保・育成への予算概算要求

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 国土交通省と厚生労働省は9月1日、2018年(平成30年)度の建設業の人材確保・育成に向けた概算要求事項の概要を公表した。

 同省は、「建設業の技能労働者の約3分の1は55歳以上となっており、他産業と比べて高齢化が進行しています。このようななか、建設業が持続的な成長を果たしていくためには、次世代の人々や女性の建設業への入職や定着の促進などに重点を置きつつ、働き方改革を着実に実行し、魅力ある職場を整備することにより、中長期的に人材確保・育成を進めていくことが重要な課題です」と位置づけている。

 具体的な数字は以下の通り。


●国交省
建設産業の働き方改革の推進 2億円
社会保険加入の徹底・定着 4,400万円
専門工事企業等に関する評価制度の構築に向けた検討 5,000万円
地域建設産業における多能工化・協業化の推進 9,800万円
建設職人の安全・健康の確保の推進 4,000万円
多様な入札契約方法の活用促進事業 9,800万円

●厚労省
建設事業主等に対する助成金による支援 53億円
ハローワークにおける人材不足分野に係る就職支援の拡充 26億円
高校生に対する地元における職業の理解の促進支援 1,500万円
中小建設事業主等への支援 9億2,000万円
建設分野におけるハロートレーニング(職業訓練)の実施 3億5,000万円
ものづくりマイスター制度による若年技能者等への実技指導 34億円
時間外労働等改善助成金(仮称)による支援 17億円
中小専門工事業者の安全衛生活動支援事業の実施 1億1,000万円
雇用管理責任者等に対する研修等の実施 1億3,000円
労災保険特別加入制度の周知広報等事業の実施 5,600万円
雇用管理改善に係る相談支援の実施 8億2,000円
建設工事の発注・設計段階における労働災害防止対策の促進事業 3,000万円


 特に地場建設業が注目すべき点は、「地域建設産業における多能工化・協業化の推進」で、国交省は各専門技能者と企業間での連携を推奨している。具体的には、土木は鉄筋、型枠、コンクリート。建築では、塗装、防水、内装などの職種間での多能工および協業化を想定している。それは、業界の大手企業が、ICTや3次元データの活用などの生産性向上に向けた取り組みを進めるなか、地場の中小建設業者も生産性の向上の取り組みを必至とされているものの、中小業者は将来的な安定した受注を確保できるか未知数で、人材確保・育成や設備拡充などへの投資が消極的となっていることがあるためだという。多能工の実施による工期の短縮、協業化による経営資源の有効活用で、各技能者と企業がそれぞれの能力と資源をマッチングさせることで、業績の安定化を図ることを目指すモデルである。

 このモデルは、地場の中小零細の建設関連事業者が、生き残るための有効な手段のひとつとなり、今後あらゆるケースで多能工・協業が進んでいく可能性は高い。

【河原 清明】

 

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