目指すは中洲スナック最年長ママ!自称27歳が奮闘する「大都会」ゆかりの店
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中洲バトルロワイヤル
ママの高齢化と後継者不足が深刻化する中洲スナック。「テナントが空けば、すぐに埋まる」というのは昔の話で、物件のオーナーにとっても頭の痛い話である。なかには、スナック以外の業態の店が開業できるように、テナントをフロアごと改装する話も聞く。そのようななか、「生涯現役」と一人気を吐くママもいる。
スナックはママのオンステージ
「面白いママがいる」という知人ともに訪れたのは、博多川沿いの會楽園ビル3階のスナック「やせうま」。現在のテナントに移転する前の10年間を合わせると、オープンから40年という老舗だ。店名は「痩せ馬」という意味ではなく、大分県の郷土料理の名前。取材と聞いて張り切ったママは、お手製の「やせうま」を用意して待ち構えていた。手作りの「やせうま」は、黒みつがポイント。弾力のある手応えと、きなこの風味と黒みつのほどよい甘さに思わず顔がほころぶ。
長年続く店にはたくさんのドラマがある。最盛期には、「夜の社員食堂」のように賑わった「やせうま」は、多くの人生が交錯した場所。そのなかのエピソードの1つは、あのクリスタルキングの名曲「大都会」ゆかりの店だ、というもの。同曲の作詞者の1人が数年前に店で働いていたのだという。ちなみに「大都会」は東京ではなく福岡・博多のまちが舞台。長崎県佐世保市で結成し、福岡に活動の場所を移したクリスタルキングが当時の想いを歌に込めた。
今年で第42回を迎える「中洲まつり」でも集客のために知恵を絞った。店があるビルは、「中洲まつり」のメイン会場となる中洲大通りから外れた場所にあり、位置的に不利。そこで座して客を待たず、「ピンチをチャンスに変える」と、勇気を出してカラオケ大会に出場。当時は職場対抗の3人1チーム。常連客から参加メンバーを募り、応援部隊として招集した。結果、初参加で見事3位入賞。その後の大会では優勝の栄冠にも輝いた。
交際費の節約や常連客の定年引退や高齢化にともない、「やせうま」の客は減っている。「1週間ゼロもめずらしくない」と語るママだが、それでも「スナックは、私のオンステージになる場所」と前向きだ。中洲の空が台風一過の快晴となった「敬老の日」。御年88歳の常連さんが久々に来店。カラオケ大会の“戦友”との再会であった。あえて実年齢には触れないが、自称27歳のママは、元気な高齢者が飲みに来る店として「中洲最年長ママを目指す!」と気を吐く。
【長丘 萬月】
<プロフィール>
長丘 萬月 (ながおか まんげつ)
福岡県生まれ。雑誌編集業を経てフリーに転身。よく言えば「現場主義」でひと通りの「ボッタクリ」を取材し(被害に遭い)、蓄積したデータをもとに「歓楽街の安全・安心な歩き方」を勝手にサポート(武勇伝として語るだけ)している。自称「中洲飲み屋のコンサルタント」だが、実際は愚痴の聞き役で最後は店で寝てしまう。腹周りと肝臓の脂肪が気になる今日この頃、それでも中洲に毎日出没する。関連キーワード
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