中国経済新聞に学ぶ~中国「お一人様経済」が発展
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中国は独身時代に入り、独身貴族がますます増えている。統計によれば、現在、中国には独身の男女が約2億人おり、うち、男性が女性より3,366万人多い。しかし、都市では、独身の女性の数が男性より多い。発展している都市ほど、独身の女性が多い。都市の発展のレベルと独身の男女の比率は反比例している。例えば、上海では、独身男性は独身女性の4分の1しかおらず、それらの独身女性のほとんどが30~35歳だ。中国における独身者数はすでにロシアと英国の両国の総人口に相当するという。2016年、中国の未婚女性の37%が結婚しなくてもとても幸せだと考えているとしている。
同時に、急速な都市化とテンポの速い日々の暮らしが、中国人をますます晩婚へと向かわせている。上海市の場合、女性の平均結婚年齢は27歳から30歳に上がった。この流れに乗って登場したのが「お一人さま経済」モデルだ。
中国各産業・各業界がお一人さま経済ブームに寄り添って変化を試みている。大手外食産業企業が「お一人さま」の商機をつかまえようとあれこれ知恵を絞っていることを発見した。独身という生き方が中国で徐々に選択肢の一つになってきた。独身者は食事でも旅行でも娯楽でも一人で行動する。一人世帯が徐々に増え、外食産業大手はこの商機を見据え、この流れに的を絞り、さまざまな変化を試みている。
住宅の質にこだわる独身者のために、「自如」や「楽乎」といった多くの賃貸物件ブランドが「独身者用マンション」を打ち出している。例えば、不動産大手である方科の傘下にある独身者用マンションブランドは近年、北京や広州や成都などの10都市で事業を展開している。提供されるマンションのほとんどは面積が15~40平方メートルで、備え付けの家具があるため、すぐに入居することができる。部屋のインテリアもぬくもりを感じさせ、シンプルさやフレッシュさをメインにしている。
また、家具市場においても、「独身者旋風」が起きている。これまでヒット商品だった「両開きドア大容量冷蔵庫」や「1.8メートルのキングサイズベッド」に代わり、「1リットルのミニ炊飯器」、「ミニテーブル」や「ミニオーブン」が人気を集めるようになっている。
ネット通販サイトのタオバオのショップオーナーである陽平氏は、「独身者は小さい家具を買って幸福感を向上させる」としており、彼は都市部の独身者の多くが質の高い教育を受けているため、日常生活においてディテールの美しさを追い求めており、彼らのニーズは製品の質ではなく、製品の使いやすさや外見の美しさにあると指摘した。日系企業の無印良品は中国で小型の炊飯器、オーブン、ポットを打ち出しており、ターゲットは勢いよく発展する独身者層だ。
独身者の増加は産業革命やモデルチェンジにより多くの可能性を提供している。自動車業界では、安くて省エネの一人用小型自動車の人気が高まりつつある。ほかには、独身者は家事に時間を費やすことを嫌うため、フードデリバリーサービスや家事代行サービスを発展させている。現在、中国では独身現象が現れており、今後はこれが独身貴族現象に、最終的には独身社会現象となる。
出前産業も独身者の増加で利益を得ている。中国最大の出前サービス企業・「Eleme」は昨年の売上高が前年比44%増加し、今年上半期はさらに同127%増加した。別の出前企業・美団も最近、180億ドル(約1兆9,800億円)の資金調達に成功したとみられる。同社が受けた注文のうち65%は独身の顧客からのもので、同社関係者は、「中国料理は準備が大変なので、独身者は(自分で料理して)時間を浪費することは全く考えていない」と説明する。
外食産業を席巻する独身者のなかで唯一抵抗を感じるのは高級レストランだ。独身者は社会で徐々に自由に振る舞うようになってはきたが、それでも一人で高級レストランの食事を楽しむ人はまだ少数派だからだ。
独身は暮らしの質が低いことを意味しないし、むしろ質がより高い場合がある。独身男性は普段からスポーツで体を鍛えたり、旅行したりしており、独身女性は美容に精力を傾ける。独身男女のもう一つの特徴は、ペットにお金を使う人が多いことで、自分にかけるよりはるかに多い金額をペットに費やす。
市場調査会社・英敏特がこのほど発表した「独身の消費者に対する営業販売――中国2017年」をみると、中国の独身の消費者の61%が、最も興味がある分野は「映画・テレビドラマ」と答え、次が「旅行」の56%、その次が「スポーツ・トレーニング」の48%だった。
同じように独身でも、男女では興味を感じる消費分野に違いがある。男性は「スポーツ・トレーニング」(55%、女性は41%)と「テクノロジー」(48%、女性は15%)に対する興味が強く、女性は「スキンケア」(58%、男性は15%)、「ファッション」(41%、男性は24%)に時間を使う傾向がみられた。企業は、膨大な数にのぼる若者と消費活動が自由な独身層からビジネス・チャンスを見出すことができると考えている。しかし、その人数が膨大で、可処分所得と消費意欲があるにもかかわらず、彼らの経済に対する貢献度は乏しい。彼らはむしろ現在の経済にマイナスの影響を与えていると考える一部の専門家すらいるほどだ。
なぜなら、独身者は同年代の既婚者より責任が少ないため、容易に一種のんびりとした生活態度となる傾向があり、これが仕事への意欲を削いでしまう可能性が高いからだ。実際日本では、結婚しないことで家庭という責任を回避しようとする若者がますます増えている。そして日本の高い未婚率は経済にマイナスの影響を与えている。自分一人を養うだけで十分で、家族のためにより多くの財産を作るべく仕事に打ち込むことをストレスに感じている。
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