2024年11月16日( 土 )

厳しさを増す環境に耐えられるか(1)~タマホーム(株)

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 福岡発のパワービルダーであるタマホーム(株)は、2015年、16年と2期連続で当期赤字を計上しながらも、17年5月期では一転して増収増益で黒字転換を果たし、回復基調に入ったようにも見える。業界後発ながら急成長を遂げた同社は、これからやってくる本格的な市場縮小の波を乗り越えていくことができるだろうか。

住宅と不動産で95%を占める

 まずタマホームの概況から見てみよう。同社は連結子会社28社とグループを形成しており、事業内容は住宅事業、不動産事業、金融事業、エネルギー事業とその他事業に大別される。住宅事業は注文住宅の建築請負事業であり、同社の主力事業である。同社の成長の原動力となった、当時としては画期的な価格、坪単価24.8万円(税抜き、諸費用を除く本体価格)は有名だ。「大安心の家」「木麗な家」などのラインナップを揃え、最近ではネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)に対応した「大安心の家 ZERO」や「木麗な家 ZEH」などもある。

 不動産事業では戸建分譲、マンション分譲、サブリースを行っている。戸建分譲は注文住宅から派生し、5区画程度のミニ開発案件を中心に手掛けてきたが、最近では50区画を超える大規模プロジェクトも手掛けるようになった。マンション分譲は、自社企画・開発・販売を行っている。サブリースは、ビル1棟もしくはフロアー単位で借り受けて転貸する事業。オーナーに賃料保証し、テナントから受け取る賃料を収益に計上する。ビルの価値向上(改修工事等)も行い、積極的にリーシングもする。

 金融事業は保険代理業とファイナンス。本融資実行までの代金立替サービスであるつなぎ融資サービスを、タマファイナンス(株)が新築住宅購入者向けに行う。エネルギー事業は福岡県大牟田市に「タマホーム有明メガソーラー発電所」を15年1月に竣工し、同年2月から商業運転を開始した。発電した全量を九州電力に売電している。

 その他事業は、家具販売・インテリア工事の請負、地盤保証、広告代理、農業、オンライン事業、アパレル、ホテル運営、レストラン経営、海外事業など多岐にわたる。

 各事業の売上高を見てみると、17年5月期の連結売上高1,570億100万円のうち、住宅事業が1,319億円、不動産事業が176億6,600万円、金融事業が10億6,000万円、エネルギー事業が9億100万円、その他事業が54億7,200万円となっており、いまだに住宅事業が圧倒的なシェアを占めていることがわかる。売上構成比は住宅事業が84%、不動産事業が11%、残りがエネルギー事業とその他事業だ。

(つづく)
【緒方 克美】

 
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