厳しさを増す環境に耐えられるか(2)~タマホーム(株)
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福岡発のパワービルダーであるタマホーム(株)は、2015年、16年と2期連続で当期赤字を計上しながらも、17年5月期では一転して増収増益で黒字転換を果たし、回復基調に入ったようにも見える。業界後発ながら急成長を遂げた同社は、これからやってくる本格的な市場縮小の波を乗り越えていくことができるだろうか。
住宅市場は縮小傾向へ
ここでは同社の中核事業である住宅市場の動向を見てみよう。業界環境の変化は当然ながら企業経営に大きな影響を及ぼすからだ。
国土交通省の住宅着工統計によれば、2016年の新設住宅着工戸数は96万7,237戸。ここ15年の推移をみると、06年に129万戸を記録したが、同年をピークとして下降局面に入った。リーマン・ショックの影響を受けた09年には80万戸を割り込み78万戸にまで下落。その後は緩やかに持ち直し、消費増税前の駆け込み需要があった13年には98万戸と100万戸近い水準にまで回復した。だが駆け込み需要の反動から14年、15年は90万戸前後に留まった。16年は前年比6.4%増加の96万戸余り。2年連続での増加となり、13年以来の高水準となった。だが内容を見ると、同社にとって業界環境が好転しているわけではないことがわかる。同社が主戦場とする注文住宅などの持家は前年比3.1%増加の29万2,287戸。3年振りに前年実績を上回ったが、伸びは僅かだ。新設住宅着工戸数が13年以来の高水準となったのは、相続税の節税対策でアパートなど貸家を建てる動きが活発化し、全体をけん引したからだ。貸家は前年比10.5%増の41万8,543戸となり、5年連続での増加。08年以来8年振りの高水準となった。
アベノミクスによる金融緩和で市場空前の低金利という追い風はあるものの、中期的には少子化、世帯数の減少は避けられず、住宅市場は縮小傾向が続いていく。(株)野村総合研究所が今年6月に発表した市場予測では、2020年度には74万戸、25年度には66万戸、30年度には55万戸に落ち込むと予想している。内訳は持ち家18万戸、分譲11万戸、貸家25万戸である。リフォーム市場が一定水準を維持する一方で、家余りの状態から新設住宅着工戸数が右肩下がりになっていくのは間違いないだろう。同社の中核をなす住宅事業、不動産事業とも環境的には厳しさが増すことが予想される。新規事業に活路を見出したいところだが、今のところ次の柱に育つような事業は見当たらない、というのが同社の現状である。
(つづく)
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