2024年11月22日( 金 )

韓国経済ウォッチ~問題は肌への浸透、人気のマイクロニードル(前)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)

 現在も化粧品はさまざまな美容成分が開発され、その有効性が宣伝されている。とくに、化粧品業界では機能性をもった新しい美容成分の開発に鎬を削っている。ところが、このような化粧品の有効成分は肌にはなかなか浸透しないことが最近明らかになっている。今回は化粧品、医薬品などの皮膚への浸透について韓国経済の最新動向をご紹介したい。

 皮膚はヒトの外観や容貌を決定する重要な要因の1つで、肌の状態によってヒトは随分違って見える。そのため、女性はもっと美しくなりたいと思って、スキンケアになみなみならぬ努力を注ぐ。

 皮膚にはヒトの外観を左右する側面以外にも、体の中の水分や熱を外に逃がさないようにするバリアの役割や、外部のさまざまな刺激から内部の筋肉や内臓を保護する大事な役割を担っている。皮膚は大きく分けると、3つの層で構成されている。外から表皮、真皮、それから皮下組織で構成されている。表皮にはもっと細かく言うと、いくつの種類があるが、ここではそれについては割愛する。

 表皮の一番外側に角質層というのがあって、それが主に表皮と真皮を保護する役割を担う。角質層は幾重にも重なっていて、外部の圧力や刺激から皮膚を保護する役割をはたしている。角質層はそのような保護機能だけでなく、水分を逃がさないで、皮膚が乾燥しないようにする重要な役割もある。

 ある研究によると、化粧品の美容成分は表皮、そのなかでも一番外側にある角質層にしか浸透しないことが明らかになった。というのは、角質層が私たちの体を外部の刺激や浸透から守るため、外部の物質が簡単に体内に入ることができないよう強力なバリアとして働いているからだ。

 このようなバリア機能だけでなく、皮膚に有効成分が浸透するにはもう1つの障害がある。美容成分が皮膚に浸透するためには、分子の大きさや水溶性か脂溶性か問題になってくる。表皮に浸透できる分子量は3,000までで、真皮に浸透する分子量は500だと言われている。一番有名な美容成分であるヒアルロン酸の分子量は100万、コラーゲンは10万、EGFなどの成長因子は6,000である。このような有効成分は、残念ながら現在は表皮への浸透率がわずか2,3%だと言われている。

 このような状況のなかで、有効成分を皮膚に浸透させるために、さまざまな研究が行なわれてきた。ナノカプセル化、マイクロニードルなどである。医薬品の場合、有効成分を患部まで届ける方法には今まで2つがあった。注射をする方法と、経口投与である。薬を飲むことに比べ、注射のほうが効果は10倍高いようだ。しかし、注射の場合は、痛いし、病院まで行かないといけないし、費用も高くつく。効果の面だけを考えると注射が一倍いい。

 注射に比べ、効果は随分落ちるが、病院に行かなくても良いし、コストも安いということで、服用する薬は重宝されてきた。ところが、化粧品の有効成分やクスリの有効成分を届ける新しい方法としてマイクロニードルが注目されている。マイクロニードルと言われても一般人にはあまり馴染みがないかもしれない。マイクロニードルをやっている企業は数社があるが、韓国のラパスという企業がその技術を東京大学生産技術研究所と共同研究することによって完成させたということで注目が集まっている。

(つづく)

 
(後)

関連キーワード

関連記事