中国経済新聞に学ぶ~中国マスコミは日本製造業の衰退をどう見ている
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かつて輝きを放った日本製造業企業が、軒並み制度の硬直化やシステム肥大といった大企業病を煩い、技術への過度の信頼や革新のタイミング遅れにより、インターネット時代の今、市場の変化の歩みに追いつけなくなっている。日本製造業の衰退は中国製造業が鏡とすべきことであると同時に、衰退の後に残された市場は中国企業の奮闘努力の原動力になるといえる。中国有力紙の「北京青年報」がこう伝えた。
11月14日、海信集団(ハイセンスグループ)傘下の上場企業・青島海信電器股份有限公司は、自己資金129億元(約2,065億円)で日本の東芝映像ソリューション(株)の株式の95%を買収することを明らかにした。譲渡が完了すれば、海信は東芝のテレビ製品のブランドや運営・サービスなど一連の事業を引き継ぐことになるほか、東芝テレビブランドの使用権40年間も獲得するという。
近年、中国企業が海外進出して海外投資を行うことが珍しくなくなり、買収資金は数十億ドルに上ることもある。それに比べれば、今回の海信電器による買収案件は資金の規模はそれほど大きくないものの、広く世の中の関心を集めている。日系ブランド家電はかつて世界トップの座にあり、「新時代の東芝」という広告コピーは中国でも広く知られていた。かつての「アイドル」が今や中国企業の手中に収められている。今回の買収案件にはこのような感慨深い背景があり、世の中がとりわけ注目するのも最もだといえる。
今回のブランド譲渡が決まると、業界関係者からは、「今現在、日本の電子産業には一体何が残っているのだろう」とため息交じりの声が聞こえてきた。近年、日本の老舗電子メーカーは生き残りをかけ、傘下のブランドや事業を次々に売却。中国企業に買収されたメーカーも多い。美的集団は東芝の白物家電事業の株式の80%を買収し、40年間のブランド使用権も得た。長虹電器はパナソニック傘下の三洋電機のテレビ事業を買収し、海爾(ハイアール)は三洋の白物家電事業を買収し、台湾地区の鴻海科技集団はシャープを買収した。このように振り返ると、1990年代の日本のテレビ6大メーカーのうち、4メーカーの家電事業を中国企業が手がけるようになっており、そのほかの老舗電子企業の現状も推して知るべしだ。
北京青年報によると、かつて世界を席巻した日本家電ブランドが、今や軒並に損失、リストラ、買収の苦境に直面している。当然のことながら、現在は家電産業の利益が大きくないため、日本企業はブランドを売り渡し、自らモデル転換を行って活路を見出そうとしているが、こうした選択は日本企業全体が大きく敗退した状況にあるということを意味しない。とやいえ、日本の家電産業は製造業の重要な柱であり、ブランドの没落が日本製造業衰退の実態の写し絵であることは間違いない。
家電ブランドの買収より、日本製造業にとってもっと深刻なのは、ここ数年たびたび伝えられる不正問題だ。最近発覚し、まだ終わりがみえない神戸製鋼所の検査データ改ざん問題は、世界の自動車・航空機メーカーの供給チェーンに激震をもたらし、社会の各方面では新幹線、航空機、自動車の安全性への懸念が高まった。自動車製造業では、日産が過去20年あまりにわたって、無資格従業員に安全性の最終確認となる完成検査を行わせていたことが発覚し、スバルも同様に無資格検査が行われる状況が30年以上も続いていたことが明らかになった。他に発覚した不正問題には、三菱自動車による燃費試験でデータ不正問題、タカタのエアバックの欠陥による死亡事故などがある。よく知られた日本企業で次々と不祥事が発覚し、「精密であり精良である」という日本製造業の伝統的イメージが損なわれ、日本製造業は高い位置から引きずり下ろされ、衰退の淵に押しやられている。
かつて輝きを放った日本の製造業企業が、軒並み制度の広聴課やシステム肥大といった大企業病を煩い、技術への過度の信頼や革新のタイミング遅れにより、インターネット時代の今、市場の変化の歩みに追いつけなくなっている。さまざまな弊害が日本企業の市場に対するコントロール力を失わせ、製造業企業の多くが力不足に陥り、不正によって問題を覆い隠そうとしてきた。日本製造業の衰退は中国製造業が鏡とすべきことであると同時に衰退の後に残された市場は中国企業の奮闘努力の原動力になるといえる。
データをみると、2016年に中国テレビブランドの世界市場シェアは30%を上回り、初めて韓国を抜いて世界一になった。この業績は中国テレビブランドがここ数年間、海外拡張戦略と海外合併買収(M&A)戦略を打ち出していることによるものだ。現在の状況をながめると、日経テレビ製品は今後ますます市場から撤退し、各国のテレビメーカーは買収完了後、研究開発資源、供給チェーン、グローバル販売ルート資源を統合し、精度の高い製造技術の水準をさらに引き上げ、コア技術の開発を強化して、自身のブランドバリューと影響力を強化する必要があるといえる。こうしなければ、中国企業は日本テレビブランドが残した市場シェアを期待通りに奪い取ることはできず、世界一の座にどっしりと座り続けることもできず、世界規模で「メイド・イン・チャイナ」の価値を高め続けることもできない。
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