2024年12月22日( 日 )

混迷の久留米市長選 入り乱れる与野党

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 21日に投開票が行われる久留米市長選は、有力陣営にさまざまな政治勢力が入り乱れ、混迷の様相を呈している。告示日(14日)に行われた各候補の出陣式では、参加した顔ぶれで、その実態が鮮明になった。

各陣営で呉越同舟

 前回の同選挙(2014年1月)で、現職・楢原利則氏に1万5,654票差で敗れた新人で元久留米大学教授の宮原信孝氏(59)。出陣式には、民進党県議団に所属する中村誠治県議のほか、保守系の久留米市議・原口和人氏、原学氏、早田耕一郎氏などが参加した。会場には顔を見せなかったが、古賀誠元自民党幹事長に近いとされる栗原伸夫元久留米市議会議長も激励の祝電を寄せており、まさに呉越同舟。幅広く票を集められる態勢と言えそうだ。

 一方、現職・楢原氏の後継指名を受けた新人で前参議院議員の大久保勉氏(56)の出陣式には、自民党副幹事長の武田良太衆議院議員が来賓として参加。大久保陣営の選対本部長を務める鳩山二郎衆議院議員と同じ二階派を代表して、「大久保氏が市長を務めることで、地方創生の一番模範となる自治体になる」とエールを送った。

 自民党からは県議会議長の原口剣生氏と十中大雅氏、農政連系会派・緑友会からも江口善明氏、さらに民進党から大久保氏の旧友である古賀之士参議院議員も応援に駆け付けており、こちらも与野党を超えて応援団が集まった形だ。

大久保陣営にマイナス要因も

 分厚い布陣の大久保陣営だが、「一枚岩」とは言い難い。そもそも選対本部長の鳩山二郎氏は、父・邦夫氏の急逝にともなう衆院補選で自民党福岡県連と対立。秘書による国税庁幹部への税務調査説明要求問題で、説明責任が求められる状況だ。

 武田氏の出陣式参加についても、評価が分かれるところ。武田氏と自民県連は対立状態で、県連主流派からすれば、大久保陣営にケンカを売られたに等しい。出陣式後、不満の声もあがったことは言うまでもない。

 兄・原口和人市議は宮原氏、弟・原口剣生県議は大久保氏と、兄弟で支持候補者が分かれたことも混迷の象徴。地元経済界にしても、本村康人商工会議所会頭が大久保氏を担いだことで反本村の経営者の多くが宮原陣営に流れるものと予想されている。

 有権者にはわかりにくい構図となった今回の市長選は、選挙権が18歳以上に拡大してからは初。久留米市の将来のビジョンと、それを実現する政策を、幅広い層にわかりやすく伝えられるかどうかが1つのポイントになる。

 新人の元商社マン・田中稔氏(64)は、政党に拠らない個人レベルの支持を集める選挙戦を展開中だ。

【山下 康太】

 

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