2024年11月25日( 月 )

注目の名護市長選で新人・渡具知氏当選確実 「基地問題より暮らし」〜争点隠しが奏功

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 きょう投開票が行われた沖縄県名護市の市長選挙で、新人で元市議の渡具知武豊候補=自民・公明・維新推薦=が初当選を確実にした。データ・マックスの現地取材と、開票状況などによる。

 渡具知氏は名護市出身の56歳、第一経済大学(福岡県)を経て市商工会青年部、名護市議会議員などを歴任した。

当選を確実にした渡具知武豊候補

 選挙戦期間中、2期8年間の実績を訴えた稲嶺進氏=社民・共産・社大・自由・民進推薦=に対し、渡具知氏は若さと政権与党とのパイプをアピール。最大の争点とみられていた米軍普天間飛行場(宜野湾市)の同市辺野古への移設の是非については発言を控え、米軍再編交付金を活用して暮らしに予算を振り向けようと訴えた。

 

 稲嶺氏が公約としてきた「パンダによる観光客誘致」については「荒唐無稽」と切って捨て、生活者目線での経済再生を公約の柱にしていた。

 

 選挙期間中、自民党本部は大物幹部や同党の「切り札」小泉進次郎筆頭副幹事長を応援演説に投入するなどして、総力戦を展開。さらに公明党の推薦も得て、組織票を固める戦術をとった。

小泉進次郎氏ら、自民党幹部も応援

 普天間飛行場の県外・国外移設を掲げる党県本部は、前回市長選では辺野古新基地についての政策不一致から自主投票。昨年の総選挙で名護市内の公明票が伸びたことから、今回は渡具知推薦に転じた。2,000票といわれる名護市内の公明票が渡具知陣営に流れ、選挙戦に大きな影響を与えたとみられる。

 

 今回の選挙結果が普天間飛行場の辺野古移設容認の流れを生むかは、まだ不透明だ。昨年執行された衆院選挙では、沖縄県の4小選挙区のうち3つの区で移設反対派の野党系候補が移設容認の自民党候補を破っている。また、1月の南城市長選でも翁長雄志知事が率いる「オール沖縄」が支援した候補が僅差で与党系候補を退けており、基地移設反対派が依然として強い勢力を維持しているのは間違いない。

 

 続発する普天間基地所属機の事故や米軍兵士が起こす事件など、日米安保条約の負担を沖縄に押し付けている現状に改善のきざしはない。翁長知事は国との対決姿勢を強めており、次の県知事選挙は翁長県政に対する信任選挙になるとみられている。今回の名護市長選の結果が県知事選にどう影響するのか。沖縄県知事選挙は今年11月に行われる。

【名護市長選特別取材班】

 

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