今週開幕の平昌オリンピック 成功への課題は(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
2月9日、いよいよ第23回の冬季オリンピックとパラリンピックが韓国の北東部・平昌(ピョンチャン)で開幕する。平昌が冬季オリンピックの開催地として決定されたのは、2011年7月である。平昌は2010年と2014年の冬季オリンピック誘致にチャレンジしたが失敗し、今回の誘致成功は三度目の正直であった。
2018年冬季オリンピックの開催地には3都市が立候補した。ドイツのミュンヘンとフランスのアヌシー、それから平昌である。IOC総会において開催地を決める投票が行なわれ、平昌は1回目の投票で63票という圧倒的な過半数を得て開催地に選ばれた。開催地決定の当初は、冬季オリンピックの誘致に成功したことで韓国の国民はとても喜んだ。しかし、冬季オリンピックの誘致に貢献したオリンピック組織委員長が交代するなど、開幕に漕ぎ着けるまでいろいろな紆余曲折があったのも事実である。
今回冬季オリンピックが開催される平昌は、山岳地帯で夏に休暇を過ごす地域である。また東海岸の海水浴場が有名だ。この辺は交通アクセスが悪く、夏場になると、避暑に行く車で渋滞がひどいことでも知られている。高速バスで行くとソウルから江陵(カンヌン)まで3時間半はかかる。
今まではどちらかというと、夏場に主に利用されているところであって、冬のスポーツを楽しむような場所ではなかった。平昌オリンピックで当初噂されたのは、平昌は雪の積雪量が不足していて、オリンピックの開催に適切ではないという話であった。しかし、素人としては、その話がどこまで本当かどうかは判断するすべもなかった。
それから、知り合いから冬季オリンピックの開催に向けて開催地の近くに江原道(カンウォンド)がリゾート開発をしたが、赤字が累積して、売却を検討しているので、密かに推進してくれと頼まれたことがある。その件をたしかめるために、当初は道知事とも打合せをしようと思っていた。しかし、日本のそれなりの地位の経済人にこの案件を相談したところ、皆から意外と冷たい反応が返ってきた。
「その地域は北朝鮮と近すぎて、リスクがあるので、日本ではそんなところに投資しようとする人はいないだろう」という返事であった。リゾート地は日本の長野県のように夏休みなどに利用されればよいし、またオリンピックが開催されれば付加価値がついて値上がりするだろう、と思っていた筆者にとっては、その指摘は目から鱗であった。実際平昌は北朝鮮から80kmしか離れていない。
今回冬季オリンピックを準備するに当たって、このアクセスの悪さを解決するために、韓国高速鉄道(KTX)は総工事費3兆7,597億ウォン、5年半の工期を経て昨年12月22日、新たに「京江線」を開通した。既存の路線を活用しながら、延長した新区間は120.7kmであった。
この地域は山岳地帯だけに、京江線はトンネルだけでも34カ所があり、韓国では一番長い21.7kmのトンネルもこの区間に入っている。この高速鉄道は仁川空港からも、ソウルからも利用できる。従来に比べ、90分ほど時間短縮になったということなので、アクセスはかなり向上したようだ。
料金はソウルから江陵まで2万7,600ウォン、仁川空港から江陵までは、4万7,000ウォンである。京江線の開業は今回の冬季オリンピックだけでなく、今後その地域のアクセスがよくなったことから、いろいろな経済波及効果が予測される。
(つづく)
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