龍馬と相部屋?明治維新150年で商魂たくましい京都人
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NetIB-NEWSを運営する(株)データ・マックスは、3月、インバウンドも含めて観光ビジネスで、さらなる賑わいを見せる京都へ視察旅行を実施しました。九州・福岡の経済ニュースを発信する記者の視点から見た観光都市「京都」の実像とは――。複数回のレポートでお伝えいたします。
龍馬ゆかりの部屋に民泊?
明治維新150年を迎えた2018年。NHKの大河ドラマでは、維新三傑の1人である西郷隆盛が主人公となり、故郷・鹿児島を始め、九州では幕末ファンを中心に盛り上がりを見せている。しかし、幕末関連の引き出しが豊富といえば、京都にかなう地域はないだろう。もっともまち全体が史跡といえる同地では、長年にわたり、歴史資源による観光ビジネスで稼いできた京都人が、すでに西郷どんブームにあやかった新サービスを実施している。
地元バス会社が企画する幕末ゆかりの地をめぐる定期観光コースでは、季節ごとに数種類も用意されている。150年に合せた「限定公開」「初公開」のオンパレード。史跡の多さから、半日~1日のコースではすべてを回り切れないのが京都のすごいところ。1つのコースが終わるころには、他のコースのガイドが入る。何度も「おいでやす」といったところだろう。
しかし、そんな京都人の商魂のたくましさを感じるのは、そうした限定コースではなかった。手頃な値段から、外国人観光客だけでなく、国内旅行者にも人気の民泊。なんと、京都では、「西郷どん」に負けじとファンの多い幕末のヒーロー、坂本龍馬ゆかりの場所が民泊で貸し出しされているのだ。その場所とは、龍馬の師・勝海舟が京都滞在時に定宿としていた常林寺(京都市左京区)の離れ。子母澤寛の小説「勝海舟」では、勝が宿まった部屋から見える大文字山の風景が描写されている。一方、龍馬が泊まった部屋は窓を開けるとお墓だったとか・・・。
ただし、お寺の建物のなかにある勝海舟の部屋は当時の雰囲気を偲ばせるが、龍馬の部屋は建て直され、その趣きはまったく残っていないようだ。民泊情報サイトによると、「日本式の部屋で滞在したい方や日本の文化を感じたい旅行者に最適」、キッチン、トイレ、バス付で家族向け、長期滞在にもおススメという。昔と同じなのは、“お墓の近く”という立地ぐらい。
史跡となれば、文化財保護の観点から、商業利用には慎重にならざるを得ないが、そこまではいかない、実に良い塩梅の歴史的エピソードといえる。同じ場所で眠りにつき、夢で龍馬に逢いたいというファンは少なくはないはずだ。京都人の引き出し多さと商魂のたくましさに感服である。
【山下 康太】
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