古都ならではの歴史と美術を堪能
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「本場のイノダコーヒを飲みたい」というほかに目的はなく、担当者に一任したツアーコースを回った。
1日目の二条城は高校の修学旅行ぶりだったが、天守閣跡を見たのは初めてだった。「北海道函館市にある五稜郭同様に「兵どもが夢の跡」といった寂寥感が漂っていた。
2日目の庭園のコースは特別公開の4寺社仏閣を見学した。狩野派の天井画(泉桶寺・相国寺)、上村松園の恩師鈴木松年の掛け軸・棟方志功の絵画(伏見稲荷大社御茶屋)など、思いがけず美術鑑賞も楽しめたコース内容に満足した。とくに伏見稲荷神社御茶屋は西日を冷却してから室内に入れるために縁側を広く取った建築方法や、火燈窓のかたち、床の間の玄武の取っ手など、細部にまでこだわった造りが印象的だった。
平安神宮神苑の橋殿は見た目も風流だが、橋の両端に設けられたベンチに座ると、吹き抜ける風が心地よく、庭園回遊後に一息つきながら池の上からの眺めを楽しめるという、機能的な側面を体感した。相国寺は偉人たちの墓参りができなかったのが残念だった。しかし、隣接する同志社大学の歴史的建造物も拝めたのが儲けものだった。
一番参道が美しかったのが泉桶寺だ。鳴き龍もここでは聞けた。ただし、コンタクトの調子が悪く、眼鏡にて拝観していたため、ふっくらと美しい楊貴妃観音像(木像)のかたちがぼやけて、はっきりと見られなかったのが残念だった。
【越中 矢住子】
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