闇に葬られる屋台問題、高島市政の「信頼」に疑義
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1年以上も「協議中」?
福岡市のホームページ(HP)で「随時公表」するとしながら、実施から1年以上が過ぎたいま(5月21日午前10時現在)も公開されていない屋台選定委員会の議事録。市HPでの公開について、担当課長(まつり振興課)は、「関係機関と協議中」という。協議の理由は、議事録の「ボリューム(量)」や「表現」「見せ方」など。しかし、どれも1年以上の時間を費やす理由とは思えない。そもそも、記者が1年前に行った情報公開請求に対し、16年11月に行われた第2回選定委員会の議事録は公開されていた。
屋台公募の経緯を振り返ると、市HP上の公開を市がためらう事情が見えてくる。
16年10月から12月にかけて選定が行われた屋台公募は、書類審査と面接のみで飲食業を志す応募者をふるいにかけ、「名店」といわれた数々の人気屋台を廃業に追い込んだ。そのうえ、選定委員によって書類審査の解答例が漏洩していたことが発覚し、屋台事業者のみならず、市民や観光客など屋台ファンから疑問の声が噴出した。
また、公募内容で、赤坂地区や祇園地区など、屋台の営業場所が、何ら説明なく募集エリア削除されるという不当な内容も含まれており、訴訟にも発展した。そうしたなか、行政によって理不尽な廃業を強いられた屋台事業者の悲哀を多くのメディアが取り上げ、地元だけでなく全国的な関心事となったのである。
為政者は本来、弱き声にも耳を傾け、実情を見極めるべきだが、残念ながら、高島宗一郎市長は、市政を“悪者”にされて面白くないと思ったようだ。昨年8月、高島市長の直属部隊である市広報戦略室が主導し、廃業の屋台に密着したドキュメンタリー番組について、「市の信頼を失墜させた」などとBPO(放送倫理・番組向上機構)に抗議した(BPOは、審議の俎上に乗った案件だけをHP上で公表し、却下になったものについては公表しない。ただし、福岡市の申立てはいまだ審議になっておらず、時間的経過を見てもBPOがこの抗議を却下したのは明白である)。
しかしながら、高島市長は、市政自体が、その行為によって信頼を失墜させていることに気づいていない。行政の信頼とは透明性によって担保される。屋台公募に関する一連の問題の重要な資料となる議事録の公開について「随時公表」という自ら宣言した約束を守らない高島市政に「信頼」という言葉を使う資格はない。
【山下 康太】
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