老舗中堅ゼネコンを支えるのは高い品質、難局を乗り切り、70周年の節目へ向かう(後)
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日建建設(株)
70周年事業として取り組む本社ビルの建替え
同社が現在、70周年事業として取り組んでいるのが本社ビルの建替え。現在の本社ビルは築45年を迎えることもあり、新たなシンボルとしての本社建設に踏み切った。「社内からは『なぜ、こんな忙しい時期にやるのか』という声も上がった」と金子社長も語る通り、自社ビルを建設するという事業は当然ながら日建建設の持ち出しで行うことになり、売上が上がるわけではない。
「しかし、忙しいからできるんです。たくさん仕事をいただいていて、社員はみんな現場に出ている。そのなかでお互いが補いながら1つのことを成し遂げていく、という空気が醸成されます」。新本社ビル建設工事中は、本社機能は博多駅東の同社保有ビルに移す。
新本社ビルは地上10階、地下1階。地下(実質的には地上1階部分)にテナントが入居し、同社の本社機能は地上1階と2階部分に入る。それ以外は賃貸マンションとなる(48戸を予定)。着工は18年12月、竣工は20年2月を予定している。
「この賃貸部分は、それほど賃料を高くするつもりはありません」という金子社長。「福岡のマンションは、優れた機能を早く取り入れて、適正価格で貸すというスタイルが特徴。価格帯としては中の上というところになります。無理に高価な内装や調度品を入れるつもりもない。無理をして最新型の什器や設備を導入しても、時間がたてば当然時代遅れになる。それでも初期投資しただけ賃料は高くなってしまいますから、入居されるお客さんにとってはプラスにはならないでしょう」。
経営者の気持ちの強さで難局を乗り切る
今後のテーマとしては、やはり事業承継。金子社長が、先代の金子博樹相談役から経営を引き継いだのは30代のころ。かつて金子社長は同社の65周年記念式典で「代表に就任して、わずか12年の間でもさまざまなピンチがありましたが、それ以前の53年間にはそれ以上の苦境があったと思います」と述べた。リーマン・ショックをピークとする建設業受難の時期を、苦心惨憺の思いで切り抜けて今日に至った金子社長も50歳を迎え、「今後10年はどうやって会社を承継していくかを考えていかなければいけない」と次代への思いを新たにしている。「私は父が50代半ばのころに日建建設に入社しました。それから10年も経たないうちに代表に就きましたから、もう、そういうタイミングは近いということになりますね」。金子社長の長男は現在大学在学中だが、「うちへの入社を前提にしていたら、本人が望むような勉強もできないでしょう。好きなように学問を修めてほしい」と一族による後継を既定路線にはしていない。あらゆる選択肢を考慮に入れている、という。
「どんなに安定経営をしていても、会社が危機に直面することは必ずある。そこを乗り切る気持ちの強さが経営者には求められる。これはどれだけ世の中が進化しても変わらないでしょう」と、自らの経験を踏まえて語る金子社長。ブレのない姿勢で難局を乗り切ってきた同社の経営哲学は、格言やモットーではなく同社の姿にこそ現れている。
(了)
<COMPANY INFORMATION>
代 表:金子 幸生
所在地:福岡市中央区六本松3-16-33
設 立:1950年3月
資本金:5,000万円
TEL:092-731-2434
URL:http://www.nikken-co.jp<プロフィール>
金子 幸生(かねこ・ゆきお)
1968年4月16日、福岡市生まれ。西南学院大学法学部卒。福岡地所(株)を経て95年5月、日建建設(株)入社。2002年1月、代表取締役に就任。関連記事
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