再編完了で利益重視路線が鮮明に~「総合飲料メーカー」へ脱皮なるか(後)
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コカ・コーラボトラーズジャパンホールディングス(株)
士気向上への貢献が期待されるのが、今年開催されるサッカーワールドカップと2年後に迫った東京オリンピックだ。米国コカ・コーラカンパニーは長きにわたり両イベントのオフィシャルスポンサーを務めている。いずれも国民を巻き込む一大イベントだけに露出度が高く消費を押し上げる好機だ。こうした士気が高まる今後2年の間に工場統合など合理化も併せて進めたい。
商品別で見直しを迫られているのはコーヒー飲料のテコ入れだ。1975年の市場投入依頼トップシェアを確保し続けてきたがそれだけに他社のターゲットとなっていた。17年12月期は販売数量を5%落とした。分母が大きいだけに減少数も大きい。このため「ジョージアジャパンクラフトマン」シリーズなど付加価値の高いコーヒー飲料を続々と投入している。
コーヒー飲料減少の一因となったのが自動販売機の売上減少だ。かつて利益確保に貢献していた自動販売機だが、近年販売数の少ない機械はむしろ負担となっていた。意図的に低効率機を削減したこともあり昨年は販売量を落としたが、施策が奏功したこともあり利益を押し上げる要因になった。
高付加価値商品への傾倒が顕著ななか、トクホ以外でも個性的な商品を投入している。3月に投入された「紅茶花伝クラフティ―」は既存「紅茶花伝」の2倍の茶葉を使用する。果汁とはちみつを加えた特徴のある商品だ。「個性が強すぎて、頻繁に飲みたい飲料ではない」と小売店関係者によっては鼻白む商品だが、果敢に市場に投入している。こうした施策は体力のある大規模ボトラーならでは。見方によっては多様化する消費者ニーズを試しているとも取れる。
同社は今年1月より西日本、近畿・四国、中部日本、東京、関東、東日本の6営業本部体制を敷いた。地域ごとに製品やマーケティング戦略を敷く取り組みだ。昨年11月投入したコカ・コーラスリムボトル熊本城版など地域限定商品などがこれにあたるだろう。企業体力を背景に非効率でも消費者目線に沿った取り組みを打ち出している。
こうした斬新な商品政策から今後同社の取り組みを占う商品が出された。4月に投入した「フローズンファンタ」などフローズン商品だ。かつて業務用フローズン商品を擁していた同社は今回パッケージ化して一般消費者向けに販売を開始した。氷菓子ともいえる同商品は、今後のアイスクリームや加工食品市場への進出を予見させる。
アルコール飲料への進出も間近に迫る。5月28日、缶チューハイ「檸檬堂」シリーズを発売する。ひとまず九州地区限定での発売だ。同社を猛追してきたサントリーの牙城へ切り込むかたちだ。
コーヒー飲料は他社に先駆けて参入したことでトップブランドを築き上げたが、成熟したアルコールや菓子市場へは最後発での参入となる。自社の足場を築けるほどのシェアを取れるか不透明だ。手法を見ると現状はテストマーケティングの段階で、本格参入していくか未知数だ。
しかし、これら2つの商品群は高収益製品開発へ向けてあらゆるカテゴリーに踏み込む可能性を示した。キューサイを手にした段階で、食品はもちろん化粧品まで製造する企業となったブランドへの影響を避けるために、別会社設立やM&Aという手法もあり得る。今後挑戦的な取り組みはさらに加速するだろう。
容易な道ではないが、今年の取り組みは総合飲料、もしくは食品メーカーへの地歩を築くか巨大ボトラーとして基盤固めに進むか分岐点の年となりそうだ。
(了)
【鹿島 譲二】<COMPANY INFORMATION>
代 表:吉松 民雄ほか1名
所在地:東京都港区赤坂9-7-1
登記上:福岡市東区箱崎7-9-66
設 立:1960年12月
資本金:152億3,199万円
売上高:(17/12連結)8,726億2,300万円(第2四半期より合算)関連キーワード
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