「脊振の自然に魅せられて」 『ベニドウダン』ツツジ科
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前回も書いたように脊振の山は5月から6月の間、たくさんの種類の花が咲き、はなやかな賑わいを見せてくれます。ベニドウダンもそのうちの1つで、縦走路で見ることができます。
高山植物は厳しい環境に晒されるので、毎年どの樹もたくさん開花してくれるとは限りません。2~4年に一度しか多くの花を咲かせてくれないのです。脊振山直下の自衛隊基地に隣接した駐車場があります。10年前から、ここを起点に道標の設置を始めました。ベニドウダンと最初に出会ったのは、ここから金山へ向けた縦走路でした。
5月19日(土)はあいにくの小雨模様、風も強く、登山者はまばらでした。そんななか、ガス(霧)のなかにたたずむ気象レーダー近くに咲くベニドウダンの姿が目に飛び込んできました。
ベニドウダンは雨露を含み、植物本来の色を醸し出し、輝いていました。
植物は陽の光が当たらない方が植物本来の色を表現します。陽が当たると、どうしても色を反射させてしまい本来の色に見えないものなのです。
いわゆるみずみずしい時が一番の見頃です。女性に例えると、風呂上がりの浴衣姿が色っぽいと思うでしょう。花も同じです。そこから少し歩くとシロドウダンとベニドウダンが仲良く並んで咲いている場所があります。今年も出会うことができました。まるで私を待ってくれていたように思えました。
強風の中、反対側に目を向けるとたくさんの花をつけたシロドウダンが風に揺れていました。こんなにたくさん花をつけたシロドウダンの大木があるとは、驚きでした。樹は花を咲かせないと素人には判別が難しいものです。シロドウダンの隣にはたくさんの実をつけたブナの樹の枝がシロドウダンの花とともに強風に揺れていました。
ずいぶん脊振の山を歩いてきたつもりですが、山はルートや時期を決めつけて歩いてはいけないと痛感しました。いつなんどき、思わぬ出会いがあるもしれないのです。今年で74歳ですが、歩けるうちはできる限り歩いておこうと思っています。2018年5月26日 記
脊振の自然を愛する会:代表 池田 友行関連キーワード
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