指紋認証の最終進化、超音波式(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
カメラが高精細化したことによって、指紋が偽造されるケースが報告されている。また、銀行のATMなどに導入された静脈認証、それから虹彩認証もある。虹彩は角膜と水晶体の間にあって、人体のなかで一番複雑で、精緻な繊維組織であるようだ。生後18カ月が経つと、虹彩は独自のパターンが形成されるという。
虹彩認証はカメラを2秒ぐらい眺めるだけで、認識できるので、かなり便利で正確である。しかし虹彩認証は、光やメガネの影響を受けることから認識精度が高くない。それに、虹彩認識は高価であることが普及の障壁になっているようだ。
モバイル生体認識市場は2019年に246億ドル、2020年には333億ドルに成長が見込まれている。今後、ほとんどのスマホに生体認証が搭載されると予想され、その台数は48億台に上ると専門家は予測している。
最後に生体認証のなかで先頭を走っている指紋認証をもう少し詳しく見てみよう。指紋認証の歴史は長く、第1世代の指紋認証は、光センサーを使ったものである。光は皮膚の表面に浸透することができないので、光センサー式は、指の皮膚の表面だけを走査することになる。この方式は、真皮を貫通することができないので、指表面の状態によって、認識に影響が出てくる。
第2世代は静電容量方式である。この方式は、画面を指で触れると発生する微弱な電流、つまり静電容量の変化をセンサーで感知し、指紋を把握する。第2世代の短所は、センサー表面に使われるシリコンが磨耗しやすく、寿命が短くなる点である。現在までの主流は静電容量方式で占められている。ただ、第1世代も、第2世代も、汚れた指や濡れた指の認識が難しいという限界がある。
第3世代の指紋認証は、超音波式である。超音波式は材料に応じて異なるエコーのサイズを生成することを利用する技術である。この方式の特徴は、今までのように指の汚れや汗などの影響を受けない点である。それに、指が指紋モジュールに接触する必要がないため、ボタンなどが不要になり、携帯電話の外観にもあまり影響を与えない。なお、3D技術でスキャンするため、正確なだけでなく、指の表皮を貫通することになるので、写真から指をスキャンして指紋が偽造されるようなことにもならない。指紋を携帯電話の画面やベゼルなどに配置することができるので、画面の有効活用にもつながり、今後携帯電話への採用は加速することになるだろう。
超音波式指紋認証を実現するためには、大きく3つの技術が必要になる。センサー、アルゴリズム、ドライバーICである。超音波式の指紋認証の技術開発に成功し、注目を集めている企業が韓国にある。(株)BTBL社である。
同社の李承晋(イ・スンジン)代表は、「既存の指紋認証の限界を克服した超音波技術は認証に新しい革命をもたらすだけでなく、市場は爆発的に伸びていく」といった。「今までの指紋認識に比べ、価格的にも安く、便利な超音波式指紋認証で世界市場を狙っていく」としている。インターネットは便利である反面、各種セキュリティ事故が毎日報告されている昨今では、このような技術の実現は誰もが望むものではなかろうか。同社のご活躍を期待したい。
(了)
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