2024年12月28日( 土 )

【続報】はしか対策、福岡市が保育関係者へのワクチン接種助成

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 福岡市では4日から、市内の保育士などの保育関係者を対象に、はしか(麻しん)ワクチン接種への助成を始めた。今年5月以降、福岡県内ではしかの感染報告が相次ぐなかで、感染した場合のリスクがとくに高い乳児やその保護者への感染を最小限にとどめるとともに、全市的な感染拡大の防止を図るのが目的。
 対象となるのは、認可外も含めた市内650カ所の保育施設に勤務する50歳未満の職員のうち、これまでにワクチン接種歴が1回以下の者や接種・罹患の状況が不明な者など。ワクチン接種費用の半分を市が、残り半分を保育事業者が負担する仕組みを整えることで、保育士らの自己負担が発生しないようにした。実施期間は6月4日から18日まで。

 はしかは今年4月以降、福岡県内で19人、うち福岡市内で11人の感染が確認されており、このなかには生後1年未満の乳児も3人含まれている。今回の市の取り組みは、ワクチンの定期接種(1歳、小学校入学前)をまだ受けていない0歳児が利用する保育施設での集団感染を危惧したもの。

 市保健福祉局・保健予防課の山本課長は、「保育施設ではしかの集団感染が発生すると、子どもの命に関わるだけでなく、保育施設の運営に支障が生じた場合に、利用している保護者にも影響が出てきます。ワクチンが限られるなかで、影響の範囲などの優先度合いを考慮した結果、今回、保育関係者へのワクチン接種への助成を開始した次第です」とコメントする。

 現在、はしかは福岡県内だけでなく、沖縄、愛知、埼玉、東京など全国的に広がりを見せており、予防接種の希望者が相次いでワクチンの数が足りなくなりつつある。はしかワクチンは、製造に長期間かかるため緊急増産ができないうえ、使用期限も短く、つくり貯めもできない。そのため、ワクチン確保は容易ではなかったが、今回、市は厚生労働省にも協力を要請。約5,000人分のワクチンを確保し、保育関係者への接種に充てる。

 「発症の報告自体は一時期より落ち着いてきていますが、まだ収束の見通しは立っていません。今後も、引き続き皆さまに注意を呼びかけていくとともに、迅速に対応にあたっていきます」(山本課長)。

 県や市は、感染が疑われる場合には医療機関に事前連絡したうえで速やかに受診することと、その場合には公共交通機関の利用を避けるよう、呼びかけている。

【坂田 憲治】

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はしか(麻しん)

 感染後に10~12日ほどの潜伏期間を経て、発熱やせきなどの風邪に似た症状が現れ、38度ほどの発熱が数日続くほか、赤いぶつぶつの発疹が全身に出る。とくに妊婦は重症化しやすく、流産や早産の原因になることもあるという。また、発症者の約3割が肺炎や中耳炎、ときには脳炎などの合併症を併発する可能性があり、ひどい場合は死に至ることも。
 発症後の効果的な治療法はなく、対症療法などにより回復を待つしかないという。感染力はインフルエンザなどと比べても非常に強く、空気感染や飛沫感染、接触感染などで人から人へ伝播。免疫をもたない人が感染すると、ほぼ100%発症に至るとされる。予防にマスクや手洗いなどは効果がなく、ワクチン接種が唯一の有効策とされ、通常は2回の予防接種を受けることで、ほとんどの人が免疫を獲得できるとされている。
 だが、接種直後に罹患した場合は十分な効果が発揮されないことや、接種後から長期間が経過すると免疫力が低下していくケースも起こり得る。また人によっては、2回の予防接種後も十分な免疫力を獲得できないこともあるという。
 ただし、予防接種を受けることで、仮に発症しても通常の発症時に比べて症状が軽減される可能性があることに加え、自分が感染しないためだけでなく、周りの人に感染を拡げないためにも有効とされている。


 

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