進化を続ける世界有数の観光地・京都 観光客を呼ぶ切り札は名所ではなく「人」(5)
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訪日外国人が2,000万人を越え、いよいよ日本全体で「観光立国」としてのあり方を本格的に考えなければいけない時代がやってきた。福岡にもクルーズ船や航空機を利用した外国人観光客が多く訪れ、中心市街地ではキャリーバッグを引いた外国人観光客を見かけない日はないが、その一方で、観光をビジネスとしてどう生かすかについては試行錯誤が続いている。そこで、国内では最高峰の観光都市である京都市が直面する課題と今後の取り組みについて、現地視察とインタビューを通じて考える。
堀江 観光資源の開拓の目的は、新たにお客さんをどんどん呼び込みたいということではありません。すでに人気のある観光資源に、過度に集中しないようにするためです。そこで、「場所・時季・時間」の3つの軸で、平準化するような施策を進めています。
まず「場所」です。一部の観光名所にすべての観光客が集中するとなると、混雑がものすごくなって、せっかく来てくださった観光客の満足度が下がってしまうことになります。また時季としては、1年を通じていかに幅広いシーズンに観光にきていただくかも重要なテーマ。観光協会では、比較的観光客が少ない夏と冬に「京の夏の旅」「京の冬の旅」としてキャンペーンを打ち、年間を通じた観光客誘致を行っています。寺社の特別拝観も夏と冬を中心に行っています。
さらに時間帯としても、早朝から夜までまんべんなく動いてもらう方が、どこかに集中するよりはいいですからね。
――新しい観光資源を発掘し、提案していくというサイクルがうまく回っていくことで、次はどこに行こう、次は何をしようというリピーター需要を生むことになりますね。
堀江 ビギナーとリピーターなどいくつかのセグメントに切りわけ、対象の観光客にそれぞれどういうものを見せていくか。それを整理していかなければいけないですね。目の肥えたリピーターさんに対しては、その層向けの観光資源をつくって見せていかなければいけません。
――体験型コンテンツ、いわゆるコト消費の重要性も、観光を考えるうえでは重要なトピックです。
堀江 コト消費とモノ消費をハッキリ切り分けるのは難しいのですが、リピーターが増えていけば求める体験や消費の質は変わってくると思います。1つの目安として、観光協会に入会する企業の業種を見ると、着物レンタルをやっている会社なども増えていますから、コト消費を業にする企業も増えているのではないでしょうか。また、tripadvisor(世界最大の旅行情報サイト。月間4億5,500万人が利用している)には「体験」というカテゴリーができていて、そこに掲載されるスポットも増えています。また、ガイドを使って観光する場合も一種の体験型消費ということになりますね。
目立った観光資源がない土地の場合、どこでお金を取っていこうかと考えるとなると、ガイドというのは非常に有効な手段です。神社仏閣など、入場するためにお金がかかる場合はそこでお金が発生しますが、観光客が魅力を感じるのは、たとえば雰囲気のいい街並みなど、直接お金が発生しないところも多いでしょう。ガイドを使って観光してもらう流れをつくることができれば、いままで消費が発生しなかった観光資源に金銭的な価値をつけることができるようになります。
――福岡でも、現在「博多旧市街プロジェクト」という構想がスタートしています。今のところ、実際にどのようなかたちでマネタイズしていくのかはまだわからないところです。
堀江 規制緩和が進んだので、通訳ガイドになるために資格を取得する必要はなくなりました。ガイド同士のコミュニティをつくったり、旅行者との適切なマッチングをしたりしていくのも大切なことだと考えます。
(つづく)
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