進化を続ける世界有数の観光地・京都 観光客を呼ぶ切り札は名所ではなく「人」(6)
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訪日外国人が2,000万人を越え、いよいよ日本全体で「観光立国」としてのあり方を本格的に考えなければいけない時代がやってきた。福岡にもクルーズ船や航空機を利用した外国人観光客が多く訪れ、中心市街地ではキャリーバッグを引いた外国人観光客を見かけない日はないが、その一方で、観光をビジネスとしてどう生かすかについては試行錯誤が続いている。そこで、国内では最高峰の観光都市である京都市が直面する課題と今後の取り組みについて、現地視察とインタビューを通じて考える。
――観光資源の開拓やガイドの育成など、京都市観光協会にはかなり大きな裁量があるように感じます。
堀江 京都市観光協会は、もともと補助金など外部資金に頼る面が少ないのが特徴です。祇園祭、葵祭、時代祭などの有料観覧席や、文化財の特別公開などを通じて観光客の皆さまからお金をいただき、これを財源としています。ですから、ある程度自分たちの裁量で事業を動かすことができます。
しかしこれまでは、この収入をしっかりチェックすることなく事業に投入しているケースが多く、せっかく自主財源があるのに利益を残せないという状態でした。観光庁からDMO法人としての認定を受けたことをきっかけに、しっかり予算を組んでPDCAサイクルを回して執行していくという体制に改めていこうとしているところです。
また、京都市は18年10月1日から宿泊税条例を施行します。この税収の一部も観光協会の財源になりますから、有効に活用する方法をしっかり考えていかなければいけません。
リピーター観光客は「人」が呼ぶ
近代的な意味での「観光」がスタートして90年の時を経た京都。一方、日本が国として観光客の受け入れに力を入れ始めたのはビジット・ジャパン・キャンペーンの開始(03年)からだろう。観光庁や政府観光局(JNTO)、観光業界の尽力で、03年に500万人台だった訪日外国人旅行者は、17年には2,869万人となった。
急速に増える外国人旅行者は、定番の観光ルートである「ゴールデンルート」(東京から入国し、箱根~富士山~京都とめぐって大阪から出国する)にはとどまらず、地方へも足を伸ばしている。また福岡が経験しているクルーズ船による観光客など、新しい人の流れも生まれている。
伝統的な観光都市である京都の知見を、観光を新しい産業として取り組んでいく立場としては大いに取り入れ、学んでいくべきではないだろうか。
――観光都市の大先輩である京都として、これから観光に力を入れたいと考えている地方都市にアドバイスをお願いします。
堀江 後発の観光地に、「初めて日本に来ました」というビギナー観光客が来ることはなかなかないと思います。やはり、ターゲットになるのは複数回訪日しているベテランですよね。迎える側としては初めてかもしれませんが、お客さんとしては日本という国自体にはすでになじみがある。そこを考えて、どんな人に情報発信するのか、どんな人のために環境整備するのかを考えることが重要なのではないでしょうか。
――福岡のようにゴールデンルートから外れた観光地にわざわざ来るということは、そこに動機があるはずですね。
堀江 最終的には、そこの土地に住んでいる人に会いに行きたい、と思ってもらうことができれば、その地域にとって一番いいお客さんになります。京都市が一生懸命ガイドを育成している理由の1つはそこです。「あのガイドさんにまた会いたい」と思ってもらえれば、また来てくれるはずです。道のりはとても長いのですが、本質的には「人」だと思います。おもてなしができる人を育てることですね。
――ハード面の整備も必要ですが、やはり受け入れる側のソフト面での考え方から変えていく必要がありますね。
(了)
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