2024年12月25日( 水 )

九州地銀(18行)の18年3月期決算を検証する(1)

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 今年頭取が交代したのは佐賀銀行一行だけだった。2012年6月から6年間頭取の座にあった陣内芳博氏が4月1日付で代表権のある会長となり、後任には坂井秀明常務(59歳./青山学院大卒)が就任した。陣内氏は松尾靖彦頭取(大蔵省出身者)の後を受けて就任をしており、二代続けてプロパー頭取の誕生となった。
 日銀はゼロ金利政策に続き、追い打ちをかけるようにマイナス金利政策を導入しており、地域金融機関の収益環境は悪化している。これから厳しい経営を余儀なくされている九州地銀(18行)の18年3月期決算を検証していくことにしたい。

1.貸出金残高順位表 【表1】を見ていただきたい。

<この表から見えるもの>
◆1位は福岡銀行で9兆5,120億円(前期比+5,867億円)。2位は西日本シティ銀行で6兆8,362億円(前期比+2,616億円)。福岡銀行が西日本シティ銀行の2倍以上増加させているのが目につく。

◆3位は肥後銀行で3兆2,464億円(前期比+1,854億円)。4位は同じ九州FG傘下の鹿児島銀行で3兆2,398億円(前期比+1,897億円)。両行の貸出金合計は6兆4,862億円(前期比+3,751億円)となっており、西日本シティ銀行との差は3,500億円までに迫っている。

◆5位は宮崎銀行で1兆9,301億円(前期比+884億円)。6位は大分銀行で1兆7,919億円(前期比+595億円)。7位は十八銀行で1兆6,599億円(前期比+1,434億円)。
・十八銀行はふくおかFGとの経営統合が無期延期となったことで、行内引締めのため巻き返しを図ったものと見られる。

◆十八銀行の預貸率は常に九州地銀の最下位だった。17/3月期も最下位の59.8%だったが、18/3月期は貸出金を大幅に増加させて63.3%に上昇したため、その不名誉な座を大分銀行(61.4%)に譲っている。
・また17/3月期の預貸率が96.9%とトップだった北九州銀行は18/3月期も97.1%となっていた。しかし長崎銀行は貸出金を前期比55億円増加させ、九州地銀のなかでただ一行だけ預金残高が前期比▲85億円となったため、預貸率が102.1%となり入れ替わった。

◆10位の熊本銀行の貸出金は前期比+1,681億円の1兆3,146億円。増加率14.7%は九州地銀18行中トップ。反面、南日本銀行は前期比+2億円の5,657億円。また豊和銀行は前期比+3億円の4,078億円と元気がない。全体的に第二地銀は熊本銀行を除き、貸出金が伸びず、苦戦しているのがわかる。

※クリックで拡大

<まとめ>
 ふくおかFG・西日本FH・九州FGの連結貸出金合計は25兆7,180億円。一方九州地銀18行の貸出金合計(単体)は36兆4,447億円。単体と連結の比較で若干の誤差はあるものの、フィナンシャルグループの比率は70.5%を占めている。預金も67.6%となっており、その比率は今後さらに高くなっていくのではないだろうか。

(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

 

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