福岡県木造建築フォーラム2025「地方都市こそ大きな可能性」

 「福岡県木造建築フォーラム2025」が3月3日に開催された。近年、首都圏を中心に、民間による高層ビルや施設などの中大規模の木造・木質建築物の建設が推進され、実物件も珍しくなくなりつつある。そうした状況を受けて同フォーラムでは、福岡県における現状、そして今後の普及の可能性について、建築物の木造・木質化に取り組む行政や事業者、団体などが、それぞれの経験や知見に基づき発表、議論した。

木造建築物普及は「第2の森づくり」

「(仮称)天神1-7計画」の竣工イメージ
「(仮称)天神1-7計画」の竣工イメージ

 今回のフォーラムは福岡県の主催で、オンライン形式により実施された。冒頭で服部誠太郎・福岡県知事が挨拶し、「世界的なカーボンニュートラルの潮流によって建築物への木材利用、とくに木造ビルへの関心が非常に高まっている。そのなかで、都市部における木造建築は『第二の森づくり』とも呼ばれるようになり、福岡県でも天神ビッグバンの建替えビル(※1)の外装に九州産木材を活用する計画が進むなど、新しい動きが見られる」と話した。

 また、県の農林水産部林業振興課長である奈須敏雄氏が、人工林率が全国2位で、利用可能な41年生以上の森林が多いといった福岡県の林業における現状、非住宅分野で木造率が低いなどという建築着工の状況【図】などについて説明。県として、県産木材の供給力強化のため、高性能林業機械や加工施設整備に助成を行っていることや、木材需要拡大にあたってCLT(Cross Laminated Timber)の利用促進を図る目的で、建築主や工務店、自治体職員などを対象に講演会や構造見学会を開催し、設計や提案ができる人材育成にも力を注いでいることなどを紹介した。

【図】国土交通省資料より引用
【図】国土交通省資料より引用

※1:福岡市中央区天神一丁目において計画中の天神イムズビル建替計画「(仮称)天神1-7計画」のこと。地下4階、地上20階建、高さ約91m、延床面積約7万4,020m2となる予定。構造は地上が鉄骨造、地下が鉄骨鉄筋コンクリート造で、建物外装にCLTパネルを約450m3使用することとなっている。オフィスやホテル、商業施設が入り、2026年末竣工予定

東京・丸の内に世界最大規模の木造ビル

 その後、ウッド・チェンジ協議会会長で東京海上日動火災保険(株)相談役・隅修三氏が、「民間建築物での木材利用と森林資源の循環利用」と題する基調講演を行った...

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