『脊振の自然に魅せられて』「オニコナスビ」 鬼小茄子 サクラソウ科
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7月中旬、脊振山地の標高700m付近に黄色い可憐な花「オニコナスビ」が咲きます。“鬼”と付くと怖いイメージがあるのですが、蔓植物で背丈2~3cm、直径1.5~2cmほどの可愛い花です。またレッドデータブックによると絶滅危惧B1種(環境省)に指定されており、貴重な花でもあります。
写真集「ふくおか野の花」のなかで、たくさんのオニコナスビ(1998年撮影)が咲いた写真が掲載されています。しかし、今では少なくなり細々と生きている植物です。
開花時期になると、この花を求めてカメラマンが殺到し、辺りを踏み荒し、蔓が無残な姿になっています。花の撮影には花を思いやる心が必要です。写真にその人の個性や表現力、感性があらわれます。撮影してSNSに自慢げに掲載するのは感心しません。
私は花や植物の撮影時には植物の根を傷めないように、なるべく長靴を履くようにしています。登山靴では根を傷めてしまうからです。どうしても登山靴を履くときは石の上を歩くようにするなど根を傷めないよう配慮しています。また踏み後が付いた時は優しく元に戻すようにしています。15年前、花に詳しいMさんからオニコナスビのある場所を教えてもらい、密かに撮影に訪れました。以来、この花の周りに石積みを数年続けて保護してきました。ほかにも保護活動をされている方がおられるようで、自生地に入らないようロープを張って復元を図っています。
今年も道標設置を兼ねて、仲間とオニコナスビに会いに行きました。1週間前に下見に行った時は蕾だったのが、この時には可憐で鮮やかな黄色の花をいくつも咲かせていました。辺りをよく観察すると、種を100m四方に飛ばして自生地を増やしていました。ここから上部の木陰で昼食を終え「来年も会おうね、頑張ってね」とオニコナスビに手を振って山道を下りました。本当に可愛い真夏の花です。
沢沿いの登山道ではヒグラシの澄んだ“カナカナ”という心地よい鳴き声が谷間にひびき、ナツツバキの純白の花が青空に向かって可憐に輝いていました。
脊振山系は福岡から身近で自然豊かな地なのです。2018年7月22日記
脊振の自然を愛する会
代表 池田 友行関連キーワード
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