2024年11月29日( 金 )

世界を熱狂させているアイドルグループ防弾少年団(BTS)(後)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)

 韓国のアーティストでこのような壁を乗り越えて、アメリカでも大きく注目されるようになったのは、PSY以来2番目である。彼らの人気は、韓国、日本、アメリカだけでなく、アジア、アフリカ、ヨーロッパなど、とどまることを知らず世界中に広がっている。防弾少年団の人気がきっかけとなり、再び世界的に韓流(ハンリュウ)の嵐が巻き起こっている。
 韓国の代表的なアイドルに成長した防弾少年団はアジアだけでなく、ポップの本場であるアメリカやヨーロッパで人気を博しているし、最近封切りになって1,300万名の観客を動員し話題になっている「神と一緒に」という韓国映画は台湾を中心にアジアでブームを巻き起こしている。韓流のコンテンツとしては、K-POP、ドラマ、映画、ゲーム、韓国料理などがあるが、とくに、K-POPは韓流の先鋒として大きな役割をはたしている。それでは、なぜ防弾少年団は海外でも人気を得るようになったのだろうか。

 防弾少年団が人気を得るようになった理由としては、優れた実力、 SNSにおけるメンバーの積極的な“発信活動”や、「ARMY(アーミー)」と呼ばれる熱心なファン(ファンダム)の存在などが挙げられている。防弾少年団の魅力は何と言っても彼らの圧倒的なパフォーマンスにある。クオリティの高いダンスはファンを熱狂させるに十分である。彼らは自ら作詞作曲をするだけでなく、振り付けまで自分たちでやっている。
 2つ目に、彼らはSNSを旨く活用する戦略に優れている。コンサートの出演だけでなく、それ以外の普段の自分たちの様子や、活動の裏現場などをインターネット経由でファンに常に報告している。自分たちの日ごろの活動や日常の様子を公開することで、ファンとの場と時間の共有をネット経由で行っているわけである。ネットを積極的に活用することによって、彼らの様子は常に世界中のファンにすぐ伝えられる。
 3つ目に、世界的にロイヤルティの高いファンダムが存在することだ。ARMYという名称で呼ばれている防弾少年団のファンダムは、デビュー当時から名実ともに韓国の内外で献身的かつ熱心なファンドムの1つとなっている。欧米のファンは、韓国ファンに倣ってSNSなどで旺盛な活動を展開していて、“インターネット”の利点を十分活かしている。

 防弾少年団が欧米でも人気が高いのは、デビュー当時から毎年北米で何かしらのライブを行っているからだろう。欧米は韓国から距離的にかなり離れていて、普通はなかなか欧米でライブを行うことは簡単なことではないが、防弾少年団は欧米での活動にも力を入れており、その成果だろう。 とくにアメリカを中心に韓国の財閥系企業であるCJ E&Mが毎年主催するイベントであるKCONの存在は欠かせない。このイベントは2017年度、ロサンゼルスだけで3日間で8万5千人を集客するほど成長している。そのイベントに欠かさず参加したことも、防弾少年団の欧米での人気の要因の1つであることは間違いない。最近、韓国では防弾少年団の世界的な人気の原因を哲学と結びつけて解釈した書籍まで出版されている。今後、防弾少年団がどのような成長をしていくかが楽しみである。

(了)

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