2024年11月25日( 月 )

なぜカンボジアでカジノが大はやりしているのか?日本に出る幕はあるのか?(前編)

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 NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、2018年8月10日付の記事を紹介する。


 「カジノで外国人観光客を日本に呼び込む」という政府の発想は時代遅れもはなはだしい。先の国会で可決、成立したいわゆる「カジノ法案」(統合型リゾート実施法)であるが、カジノを取り巻く国際情勢をまったくと言っていいほど無視している。菅官房長官のお膝元の横浜はカジノ特区誘致が確実視されているが、地元の元締め的存在と目される港湾関係者や建設業者はもとより大手ゲーム機メーカーも「儲かりそうにない」と様子見を決め込んでいる。

 実は、日本にとってライバルとなりうるアジア地域でカジノが繁盛していたのはマカオ、シンガポール、カンボジアが御三家。しかし、カンボジア以外はいずこも集客が減り、収益も急落中。その最大の理由は中国人ギャンブラーの減少である。この世界では公然の秘密であるが、マカオやシンガポールのカジノで大枚を投じていたのは中国の党や政府の幹部たちであった。

 その実態は資金洗浄であり、事前に胴元とすり合わせをし、裏金を渡した上で、「勝った、負けた」の振りをしながら、最終的に利益を懐に入れて帰国する仕掛けが見事なまでにできていた。個人マネーではなく公金であるため、1回の掛け金も100万円や200万円は当たり前。数千万から数億円単位での洗浄資金ありきのカジノブームであった。

 ところが、習近平国家主席が綱紀粛正を掲げ、幹部の腐敗を徹底的に取り締まるようになったため、カジノを訪れる公金持参の中国人は激減。その結果、マカオもシンガポールもカジノは閑古鳥が鳴く有様。もちろん、少額の掛け金でスロットマシーンやバカラ、ルーレットを楽しむ個人客はいるが、投じられるお金は微々たるもの。

 本家のアメリカやフランスでもカジノは倒産が相次いでいる。あのトランプ・カジノも閉店を余儀なくされたほど。そんな中、ベトナム、マレーシア、フィリピン、韓国でも「我も我もと」カジノが林立したが、実際はどこも儲かっていない。唯一、気を吐いているのがカンボジアである。

 7月29日の国政選挙でフン・セン首相率いる与党が全議席を獲得するという大勝利。
 まさに、胴元が勝つように仕組まれた選挙であった。30年にわたって独裁体制を維持してきたフン・セン首相のお気に入りが他ならぬカジノ・ビジネスである。中国からの膨大なインフラ投資資金が流入したおかげで、65か所を数えるカンボジアのカジノはいずこも大繁盛。その数は今も増え続けている。そのうち、50以上のカジノは中国人の経営である。

※続きは8月10日のメルマガ版「なぜカンボジアでカジノが大はやりしているのか?日本に出る幕はあるのか?(前編)」で。


著者:浜田和幸
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