多彩な店舗を積極展開、人材が定着できる環境づくりに注力する成長企業(後)
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(株) タケノ
定着できる組織づくりへ転換
創業して間もないころ、竹野氏は従業員の1人から「定年は何歳ですか?」と質問を受けた。それまで竹野氏は従業員はいつか独立するか、別の職業に就くために店を辞めていくものだと考えていた。竹野氏自身も店舗を広げるつもりがなかった。そんな矢先の質問。そこで竹野氏は考えを改め、従業員が社員として安心して長く活躍できるような会社づくりを進めることにした。同時に店舗展開にも積極的に乗り出した。
社員は、まず店長見習いとして採用される。入社時にはまったく未経験でも構わない。ホールやキッチンの業務は店長や先輩に教わりながら身につける。その後、店長候補→店長へとキャリアを積み上げていく。店長を経験した後は、店舗5~7店舗を統括するエリアマネージャー、本社の管理部や人事部、商品部、営業部などの職に就き、会社幹部を目指す。
昨今、注目の働き方改革にもいち早く取り組んだ。2年ほど前から週休2日制を採用。三六協定を遵守し、全社を挙げて残業の軽減にも努める。社員の給与項目の業績給は勤務時間を守ることが査定の最低条件となっているので、社員は時間内に与えられた仕事をこなさなければならない。前項で紹介したセントラルキッチンの建設は現場業務の効率化も目的の1つ。大半のメニューの下ごしらえや調理をセントラルキッチンであらかじめ済ませておくことで現場負担を減らし、結果的に残業の軽減や人材を適材適所に配置する効果に繋げる。
やりがいをもって仕事に取り組める制度づくりにも積極的だ。主に店長クラスの制度として、前年対比、売上対比、人時対比(1人が所定の時間内に売り上げた金額)など客観的なデータをクリアすることで支給されるインセンティブ制を設けた。ほかにも季節メニューの社内コンテストを実施。社員であれば誰でも応募可能で、マネージャーや店長の試食・審査によりメニュー化。季節メニューに選ばれると3カ月間、各店舗で実際に客に提供される。ここでユニークなのは、その3カ月目(最終月)の売上額の5%が発案した社員にインセンティブとして支給されること。提案した社員はインセンティブというカタチでやりがいをより強く実感できる。
これら週休2日制の採用と残業の軽減、およびやりがいを実感できる制度を始めてから、社員の定着率が大きく向上。キャリアパスを整えたこともあって、社員は同社を自分自身の将来像を描ける場として認識できるようになった。新卒(高卒、大卒)の採用もスタートさせ、直近では毎年、3名~5名ほどを採用している。ちなみに先ほど述べた「定年を問い合わせた社員」は現在、勤続20年を越えるベテラン幹部となった。バイトスタッフのなかには10年以上続けている人がいるなど、定着率の上昇は人材確保が難しいといわれる外食産業界のなかで生き残っていくためにも大きなポイントであろう。
同社は無理な店舗展開は望まないものの、5年後100店舗(九州内および海外)、売上高70億円(現在20億円)を目指す。FC展開は考えないということなので、目標の達成にはなおさら自社での人材育成が最重要課題となる。そのための勤務環境や福利厚生、教育研修の改善には努力を惜しまない。
1人ひとりの成長が会社の成長につながる実感が得られる(株)タケノ。自分の力を試したいならば、スキルアップもキャリアアップも実現できる、伸び盛りの企業風土の会社である。
(了)
<COMPANY INFORMATION>
代 表:竹野 孔
所在地:福岡市博多区博多駅南4-18-27
設 立:1979年4月
資本金:3,000万円
TEL:092-451-0200
URL:http://www.takeno.co.jp<プロフィール>
竹野 孔(たけの・とおる)
1955年6月8日生まれ。大学1年生の時、父親が食堂を廃業したことをきっかけに、自身で焼き鳥屋を創業。当初は苦労したものの、その後、順調に事業を拡大。今では居酒屋を始め36店舗を展開。趣味はハーレーでのツーリング。法人名
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