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九州の北西部に広がる玄界灘の藻場(もば)の現状を取り上げ、皆で保護を考えていくシンポジウム「玄海地区の藻場をどう守り、育てるべきか?」が、9月2日に唐津市で開催される。会場は唐津市佐志浜町の佐志公民館で、時間は午後2時から午後4時半まで。参加費は無料。
「藻場」とは、沿岸域に形成されたさまざまな海草・海藻の群落であり、“海の森”ともいわれるもの。魚の産卵場所や稚魚の成育の場など、多くの水生生物の生態を支えるだけでなく、水中の有機物を分解して酸素を供給するなど、海水の浄化にも大きな役割をはたしている。だが近年、「磯焼け」といわれる海藻の死滅による藻場の消失が、全国各地の沿岸域で発生。玄界灘においては、海の温暖化を背景に、ウニ類やアイゴなどの植食性魚類による食害が原因と考えられている。
今回のシンポジウムでは、佐賀県玄海支援センター職員や海藻研究所所長などの講演で、玄海地区の藻場の現状や課題が取り上げられた後、鎮西町・松島区長なども加わり、パネルディスカッションが行われる。なお、同シンポジウムは、唐津市の景観に恵まれた自然環境を守り、次の世代に引き継ぐための地域環境活動事業「平成30年度唐津市うみ・やま・かわ環境調和のまちづくり事業」の認定を受けている。
主催する玄海地区生物教育研究所の飯田勇次氏は、「陸地での土砂災害などに比べると、海中の変化はわかりにくく、あまり皆の関心が集まりません。まずは地元の海の問題の現状を皆さまに少しでも理解していただき、特効薬はなくとも、何らかの対応策を皆で考えるきっかけにしていきたいと思います」と話す。
普段、あまり気にすることのない地元の海の現状を正しく知り、1人ひとりが環境問題を考えていくためのきっかけとして、同シンポジウムに参加してみてはいかがだろうか。
【坂田 憲治】
■玄海地区の藻場をどう守り、育てるべきか?
<日 時>
2018年9月2日 午後2時~午後4時半<場 所>
佐志公民館(佐賀県唐津市佐志浜町4525-2)<参加費>
無料<お問い合わせ先>
玄海地区生物教育研究所
TEL:090-5727-8950(飯田)