ともに働く職人と目指したのは高い品質と卓越した技術(前)
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(株)ツキジ
反対を押し切り異色の社屋を建設
(株)ツキジは福岡市南区に本社を構え、防水工事を専門に手がける企業。受注先の要望なら九州一円、どこにでも誰よりも早く現場に駆け付けるのがモットーだ。それも創業者である築地隆仁代表自ら赴くため、高い信頼を得ている。ともに働く職人たちと志をともにし、やりがいのある職場環境を提供するなど、地場屈指の防水業者として名を馳せている。
学卒後に医療器具メーカーに入社し、営業職に就いた築地隆仁代表。営業トップの成績を残すものの、何か割り切れない気持ちを感じていた。そこに専門工事職で腕をふるい、己の腕一本で生活していく職人の姿を見る。一念発起した築地氏は会社を辞め、地場の防水工事会社に入る。昼夜問わず働いた築地氏はメキメキと腕を上げ、現場でも一目置かれる存在となった。
そして、1987年6月にシーリング事業を中心事業とする築地工業を創業。91年7月に(有)ツキジシーリングとして法人化をはたす。このとき築地代表は、ある計画をもっていた。新社屋の建設である。従業員や集まってくる職人のために、環境の整った新しい社屋の必要性を強く感じていたのだ。だが、時代はバブル崩壊直後。関係先からは「社屋の建設よりも、仕事が少ない今をどう乗り切るかを考えるべきだ」と反対の意見が集まった。だが、築地代表は「建築費が安くつく今が好機である。ピンチはチャンス」と、反対を押し切り社屋を95年に完成させた。97年7月に現商号である(株)ツキジに社名を変更。シーリング事業から防水工事に移行する節目の年となった。
現在の社屋は駐車場を兼ねる広い敷地のなかに、鉄骨造2階建てで造られている。2階は事務所、社長室などとなっているが、一般の同業の社屋と大きく違うのは、1階に広い会議室を設けていること。資材を置く倉庫よりも明らかに広い空間である。これは同社に関係する職人を集めて、勉強会を行うために造られたもの。この会議室は、築地氏が「新しい情報を共有し、切磋琢磨できる環境づくりは絶対に必要だ」と感じた結果である。
築地氏が職人たちの生活の向上に務めたエピソードは、これだけではない。2012年、国土交通省は「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」を発表。建設業の所轄官庁である国土交通省と社会保険を担当する厚生労働省は、ともに建設業者の社会保険100%加入の方針を打ち出した。築地代表は、この国の政策以前から、関係する職人らに社会保険の加入を強く進めてきたのだ。なかには「経営面の負担が大きくなるため必要性を感じない」と考える者もいたが、「医療、年金などの公的保障は絶対必要」と会議室で説明会を開き、何度もその必要性を説いた。ここでも、会議室が役に立っているのである。
また、社内の環境づくりの1つとして、04年2月に九州では業界初となる品質マネジメントシステム(ISO9001)や環境マネジメントシステム(ISO14001)のダブル取得を行った。築地社長は「品質や環境対策に関する仕組みづくりがこれから必要であり、早期に取得することで社内に深く浸透させるべき」として認証を取得したのである。
(つづく)
<COMPANY INFORMATION>
代 表:築地 隆仁
所在地:福岡市南区屋形原3-38-12
設 立:1991年7月
資本金:2,000万円
TEL:092-565-1366
URL:http://www.ts-tsukiji.com<プロフィール>
築地 隆仁(つきじ・たかひと)
1961年4月生まれ。学卒後、医療器具商社の営業職を経て建設業界へ。87年、「築地シーリング工業」を創業し、91年に法人化。同社代表取締役に就任。関連キーワード
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