2024年12月22日( 日 )

鳥取銀行の支店撤退に行政がクレーム~地銀の経営統合にも影響か(中)

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 山陰地方とは中国山脈の北側に位置する島根県、鳥取県と山口県・兵庫県・京都府の北部で、いわれは五畿七道の山陰道からきている。今は島根・鳥取の二県を指すことが多い。その山陰に本店がある地銀は山陰合同銀行(島根県松江市)・鳥取銀行(鳥取県鳥取市)・島根銀行(島根県松江市)の3行で、その預貸金計数は【表1】の通り、一強二弱となっている。

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山陰の地銀3行について

(1)山陰合同銀行(第一地銀)
・前身は1889年(明治22年)8月に設立された松江銀行。1941年7月に、松江銀行(島根県)と米子銀行(鳥取県)が合併し山陰合同銀行(以下、山陰合銀)設立。本店は島根県松江市にあるが、島根県と鳥取県の2県を主力基盤にしている。

・そのため、鳥取県の指定金融機関であり、鳥取県内12市町村(米子市・倉吉市・境港市・三朝町・湯梨浜町・琴浦町・日吉津村・南部町・伯耆町・日南町・日野町・江府町)の指定金融機関を受託している。

(2)鳥取銀行(第一地銀)
・前身は1921年(大正10年)12月に設立された鳥取貯蓄銀行。1949年(昭和24年)10月に鳥取信用組合の営業を譲り受け、鳥取銀行を設立し普銀転換。

・鳥取県では唯一の地銀であるが、設立は戦後であるため、指定代理金融機関となっている。ただ鳥取県内7市町(鳥取市・岩美町・若桜町・智頭町・八頭町・北栄町・大山町)から指定金融機関を受託している。

(3)島根銀行(第二地銀)
・前身は1915年(大正4年)5月に設立された松江相互貯金。1989年8月に普銀転換し松江相互銀行から島根銀行に商号変更。島根県の指定金融機関は山陰合銀。指定代理金融機関は島根県農業協同組合であり、島根銀行は島根県および鳥取県内に支店を開設しているほかの銀行と同じ、収納代理金融機関の扱いとなっている。

 【表2】を見ていただきたい。鳥取県内にある地銀の支店・出張所の配置図である。

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<この表から見えるもの>
◆鳥取県の2018年8月現在の推定人口は56万人余りとなっている。鳥取銀行は県内に41支店と10出張所、合わせて51店舗を開設。一方、山陰合同銀行は22支店と25出張所、合わせてほぼ同数の47店舗を配置している。両行を比較すれば山陰合同銀行は合理化のため、支店を減らし出張所にしているのがわかる。

◆鳥取銀行は遅れていた合理化を進めるため、県内5店舗の移転と1支店の廃止を発表。そのなかに、日南町の生山支店を隣接する日野町へ移転すると発表したことが、大きな波紋を呼ぶことになったのだ。

(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎 裕治】

 

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