新たな局面を迎える中国の「一帯一路」戦略:日本の出番(後編)
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NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、2018年10月5日付の記事を紹介する。
先に述べたように、本年5月、東京で開催された日中韓首脳会談の折に実現した日中首脳会談では日中両国が第3国において共同プロジェクトを推進するためのフォーラムを官民合同で設立することが決まった。これこそ、「一帯一路計画」への日本の参加を後押しさせようとする政策に他ならない。その第1回会合はこの9月、北京で開催された。アジアのみならず中東、ヨーロッパ、そしてアフリカにも経済圏を拡大しようとする中国の夢に、日本も遅まきながら与しようとする動きである。中小企業を中心とする「日中一帯一路促進会」もスタートした。本年は日中平和友好条約締結40周年ということもあり、経済界を中心に、「一帯一路」に関するセミナーや商談会が目白押しである。
と同時に、東南アジアや南アジア諸国にとっては、中国の軍事的な動きは懸念材料となってはいるものの、中国が得意とする「札束外交」とも揶揄される経済援助や世界最大の人口を抱える市場の潜在的魅力にはあらがうことができない。軍事的衝突を繰り返したベトナムですら、中国との政治、経済的対話の道を慎重に模索しているのも、そのためであろう。フィリピンのディトルテ大統領がアメリカを見限り、中国との関係強化に舵を切ったのも、チャイナ・マネーの威力のなせるワザに他ならない。ただ、フィリピンに住む中国人によって展開されている「フィリピンは中国の一部」というキャンペーンには警戒心が高まっている。
また、新たに注目すべきは中国とロシアの関係で、このところかつてないほど強力に依存関係を深めつつある。習主席とプーチン大統領の相互依存関係は資源開発やテロ対策を主眼とする「上海協力機構」に止まらない。中央アジアのインフラ整備に始まり、エジプトの首都移転計画やアフリカ、中東地域においても同様の動きが進んでいる。
プーチンは「ロシアと変貌する世界」と題する論文の中で、「中国との連携を軸にシリア情勢、イランや北朝鮮の核問題など、欧米とは一線を画す」姿勢を鮮明に打ち出している。その流れを強化するように、2018年9月、ロシアは中国と合同で冷戦後最大の規模となる「ボストーク2018」と銘打った軍事演習を実施した。
要は、プーチン大統領は、崩壊した旧ソビエト連邦を自らの手で蘇らせたい、との歴史的野望を秘めているのである。「ソ連崩壊は20世紀最悪の地政学的な悲劇だった」と主張して止まないプーチン。「ユーラシア同盟」の名の下で旧ソ連の復活を模索している。「中国の夢」と称して、4000年、時には5000年の歴史を背景に、中華思想を実現しようとする習近平の路線と共通する部分が多いのも当然であろう。互いにけん制し合う面もあるが、ロシアも中国も相互依存で得られるメリットを追求しようとしているわけだ。
※続きは10月5日のメルマガ版「新たな局面を迎える中国の『一帯一路』戦略:日本の出番(後編)」で。
著者:浜田和幸
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