2024年11月22日( 金 )

人材の活性化で企業体質の強化を図る(後)

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(株)マルモク

付加価値のあるオリジナル商品開発へ

 省施工商材の開発を行うことで、現場の作業員でも簡単につくれる商材を開発しているのも同社の特色。代表的なのがシステム収納「M′sBOX(エムズボックス)」だ。この商材は、木のスペシャリスト集団の同社が、長年の業歴で積み上げてきた経験と信頼に基づく木材加工技術を活用したもの。材料の仕入れから設計・施工までを一貫して自社で行うことで、コストパフォーマンスの良い商品となっている。お客さまからの評判も上々だ。作業員でも簡単につくれるように手間がかからず、最終仕上げを現場で行えるようにした。今後も機能性、デザインなどの付加価値を付け、さらに改善を重ねていきたい考えだ。また、今後は、職人不足と人材不足に対応するため、外国人を雇用し、ボード貼りやメンテナンスなどの業務を任せることも検討中だ。

 大工を含めた職人の高齢化に加え、若い人材が育ってないことが業界全体の課題でもある。そこで同社が最も大切にしていることは人材教育。現在、ベテラン社員を教育担当に据えて、人材育成に本腰を入れている。「ベテラン社員と若手社員をペアにして意見交換させるなど、勉強会も実施している。若手社員は、知識が足りない部分を含めて積極的に質問しているようだ。仕事の価値観は昔とは違う。それを共有できることの意義は大きいのではないかと思っている」と村田専務は話す。成果のほかに、仕事への取り組みを重視したことで社員の定着率を高めていく狙いだ。

現場の声を経営に生かす

 多様化するクライアントのニーズに対応するためには、何が求められているかを知ることが大切となる。「たとえば、近年ではお客さまからの品質に関する要求レベルが高くなっている。お客さまが求めていることに的確に応えるためには、その要求に柔軟に対応することが必要です。何が求められているのかを知るためには、現場や営業社員たちの意見を経営に取り入れていくしかない」。そのため同社は現在、年間の目標を定めて、それを事業部ごとに落とし込み、月ごとにその進捗を社員1人ひとりが管理している。若い社員でも仕事に取り組みやすいように、目標設定の見える化に取り組むことで、結果として、社員1人ひとりが考える集団となり、安定基盤を構築できている。これが福岡で半世紀近く事業を継続できている要因だ。

 最後に村田専務は、「社内では、施工管理技士や建築士の資格を取ることを推奨している。資格取得が自分の報酬として返ってくる仕組みをつくり、福利厚生の充実を含めて取り組んでいかなければならない課題もある。『マルモクで働きたい』と同業他社から思われるつもりでやってきたが、まだまだだと思っている。これからもお客さまのニーズを知るために、週2~3回は、社員と同行して現場回りを続けていきたい」と、語った。

 経営幹部と社員が一体となり、幾多の困難を乗り越え、事業に取り組んできた。「何事にも挑戦する心を忘れない」という創業者の村田社長の『想い』が、会社を受け継ぐ村田専務、そして社員らへ、しっかりと引き継がれていくことは間違いない。今後も地域密着の経営姿勢で、福岡の建設業界から頼りにされる存在となり続けるだろう。

(了)

<COMPANY INFORMATION>
代 表:村田 一朗
所在地:福岡県那珂川市仲3-13-6
設 立:1970年3月
資本金:1,000万円
TEL:092-952-3911
URL:http://www.marumoku.co.jp

<プロフィール>
村田 一朗(むらた・いちろう)

 1939年2月生まれ、福岡県出身。東筑高校卒業後、高島木材産業に入社。熊本営業所長を経て、70年に(株)マルモクを設立。同社代表取締役社長に就任する。

(前)

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