2024年12月23日( 月 )

公証関係者唖然!公証役場で自ら押印も証書の内容全否定

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
公証役場で押印する上原氏

 福岡市博多区で産廃処分場を運営する(株)和幸商会が地主からの土地使用許可が得られないため産廃処分業の許可の更新手続きが進まず、10月28日をもって許可を失った。同社は処分場の運営を主業とするため、翌29日以降、事実上の事業停止状態となっている。

 同処分場の経営権をめぐっては、処分業の許可をもつ「和幸商会」と処分場の土地を所有していた「クリーン金隈」の関連2社で現経営陣による取締役会や株主総会の議事録、役員の辞任届の偽造が判明。意に沿わない特定の株主や役員を排除するなどの違法行為が行われていた。(コチラ→「舞台は法廷へ~終わり見えぬ産廃処分場乗っ取り事件」

 産廃処分業の許可期限が目前に迫るなか、関係者の1人が驚くべき内容証明を地主に通知していたことがわかった。「作成した公正証書の内容はすべて撤回する」――そう通知したのは、クリーン金隈の元代表取締役、上原重隆氏だった。

 関係者の話によると、9月中旬、土地所有者である上嶋稔氏は上原氏ら複数人とともに、博多公証役場を訪れ、クリーン金隈が所有していた処分場の土地が上嶋氏に適法に売買されたことを事実とする公正証書を作成した。売買された2016年当時の代表である上原氏が間違いないと認めていることを証明するものだ。また今後、上嶋氏とクリーン金隈との間で紛争が生じた場合は、上原氏が上嶋氏に対し、全面的に協力することも約束されていたのだが…。

 同公正証書には、上原氏本人が公証役場で公証人と立会人の前で自ら押印していた。にもかかわらず、1カ月後に事実を全否定する内容を通知したのだ。「あれだけ協力的だったのに。この1カ月で上原氏に何があったのか」――地主や立会人は不可解な上原氏の行動に唖然とするばかりだという。公証制度に詳しい弁護士は「公証役場で自ら印鑑をついたら、無効は通じないというのが一般的」という見解を示している。

 公正証書とは法律の専門家が、ある事実や事柄の認定に立ち会い作成するもの。法律の専門家である公証人が公証しており、その証拠が公正証書として明確に残っている以上、作成後に錯誤や詐欺や強迫などがあったという主張は認められにくい。上原氏の真意はどこに。

【東城 洋平】

▼関連リンク
・福岡市の産廃業者、許可更新できず 一時閉鎖へ
・舞台は法廷へ~終わり見えぬ産廃処分場乗っ取り事件(前)

関連キーワード

関連記事