2024年07月18日( 木 )

ハゲタカ資本の利益しか追求しない安倍内閣

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は安倍内閣が推進しようとしている政策は、紛れもなく現代版の奴隷貿易政策だと訴えた11月3日付の記事を紹介する。


「成長戦略」「働き方改革」「平和安全法制」など、言葉の響きに騙されてはいけない。安倍晋三氏は2012年12月の総選挙に際して「日本を取り戻す」とも言っていた。これらの言葉は、重要な主語が抜けていたり、本質に関わる部分で言葉が入れ替えられていたりするもので、人々の「印象を操作」するために用いられているものだ。
「成長戦略」は「大資本利益の成長戦略」である。「働き方改革」は「働かせ方改悪」を言い換えたもの。「平和安全法制」は「戦争法制」を言い換えたものだ。
「日本を取り戻す」に主語を補えば、「米国が日本を取り戻す」になる。こうした「ペテン師的手法」が安倍政治ではふんだんに用いられている。
「成長戦略」は大資本=ハゲタカ資本の利益を極大化させるための政策パッケージである。

その柱は次の五つだ。
農林水産業自由化
医療自由化
労働規制撤廃
法人税減税
特区創設・民営化

農林水産業自由化は、日本の農林水産業を農家や漁師の手から奪い、ハゲタカ資本に提供するものである。
ハゲタカ資本の行動の特徴は「収奪」にある。日本の土地、海から収穫物を収奪して、収奪し終えれば、立ち去るだろう。持続可能な、安心安全の農林水産業を営む考えはない。
このような営利至上主義の巨大資本に、国民の生命の源になる農林水産業を上納しようとするのが農林水産業の自由化である。
医療の自由化の中心は価格自由化で、価格自由化で薬価や医療機器価格が跳ね上がる。その結果、公的保険医療がカバーする医療の領域が限定されることになる。

医療は公的保険医療と非公的保険医療の二本立てとなり、高額の民間医療保険ビジネスが急拡大することになる。すべては、ハゲタカ資本の利益を極大化させるための政策である。
「水」は私たちの命の源であるから、公的管理下に置く必要がある。公的事業で経営が放漫になる面があるなら、市民による監視を強化する制度を構築すればよい。
施設が老朽化しているなら、公債を発行して資金調達すればよい。インフラ整備を借金で賄う場合、負債に見合う資産が存在するから不健全でない。水道事業を民営化しなければならない理由は存在しない。

成長戦略のなかの五つの柱のなかで、大資本が要請する核心が労働規制撤廃である。企業利益を増大させるための核心が労働コストの圧縮であるからだ。労働規制撤廃は、ハゲタカ利益の成長戦略の核心部分である。

この労働規制撤廃の中身は次の五つだ。
1.正規から非正規へのシフト促進
2.長時間残業の合法化
3,残業代ゼロ制度の適用範囲拡大
4。解雇の自由化
5.外国人労働力の利用拡大
である。

安倍内閣は「働かせ方改悪法制」を強行制定した。これによって、2.長時間残業の合法化、と3.残業代ゼロ制度の適用範囲拡大、を実現した。正規から非正規へのシフト加速は、小泉政権以降、全面推進してきたものだ。今後、解雇の自由化が全面推進されることになるだろう。

※続きは11月3日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「入管法改正案は現代版奴隷貿易創設法案だ」で。


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・植草一秀の『知られざる真実』

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