【書評】ニッポン2021-2050 データから構想を生み出す教養と思考法 落合陽一×猪瀬直樹
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メディアアーティストで新進気鋭の論客である落合陽一氏と、作家で元東京都知事の猪瀬直樹氏の共著。東京オリンピックという一大イベントを前に、2020年で思考停止している日本を憂い、2021年以降のビジョンを描くことの大切さを説く。社会課題の解決には、視点と価値観の転換が求められており、それこそが「近代の超克」には必要なのだという。
2021年以降、すなわちポスト平成の時代は、超過密都市の東京と過疎化が進む地方の分断が進み、乗り越えるべき課題すら共有できない可能性がある。「日本」という国単位で考える共通基盤を失いつつある日本社会が、どのように歩んでいくべきかを論考する。歴史的な視点の大切さと、テクノロジーの可能性は両者の共通認識だ。落合氏が自民党の小泉進次郎氏とともに広めようとしている新しい概念、政治(ポリティクス・politics)と技術(テクノロジー・technology)を融合させたポリテック(POLITECH)も興味深い。
テクノロジーの進展を踏まえて、「自分とは何か」「どういう主体なのか」を深堀りする「近代的人間らしさ」から、最先端の技術を駆使し、自分にできることを磨いていく「デジタルヒューマン」への変化が必要で、「デジタルヒューマン」こそが「近代の超克」を成し遂げる新たな人材だという。企業も個人も激変する社会環境への適応が求められる時代に、どのような未来ビジョンを描くべきか、参考になる一冊だ。
【緒方 克美】
■ニッポン2021-2050 データから構想を生み出す教養と思考法
<出版社>
KADOKAWA<価格>
1,512円(税込)関連記事
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