【書評】Gのインテリジェンス ゴルゴ13×佐藤優
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「外務省のラスプーチン」と呼ばれた元外交官の佐藤優氏が、連載50年を迎えた人気漫画「ゴルゴ13」をテキストに、正しい情報をつかみ取り分析する技術「インテリジェンス」について説く。
「ゴルゴ13」の作者・さいとうたかを氏との対談も収録されている。「ゴルゴ13」は多くの政治家や官僚が最新の世界情勢を把握するために愛読していると言われ、佐藤氏もそうした読み方をしてきた。同時にこの作品を通じて「インテリジェンス」を磨くヒントも得ていたという。ネット社会は玉石混交の情報が溢れたノイズの多い社会だ。フェイクニュースやデマの拡散が話題になるのは、それらの象徴的な事象でもある。こうした時代だからこそ「正しい情報」を得る力をもった人間は、間違った情報に振り回されることがなくなり、成功する可能性が高まる。「インテリジェンス」は専門家だけでなく、ビジネスパーソンや学生にとっても現代社会をサバイバルする武器になるという。
「新自由主義経済」が「新・帝国主義」を生み出した世界情勢から、AIやドローン、仮想通貨などのテクノロジーまで、最新の情報が「インテリジェンス」の観点からわかりやすく解説されている。入門編というレベルなので、深く知りたければ佐藤氏の別の著作を読むべきだろう。仕事人である「ゴルゴ」との共通点として、さいとう氏は漫画家になって63年間、一度も締め切りに遅れたことがなく、月間90本の締め切りがある佐藤氏も同様だという。「自分の仕事に最後まで責任をもつ」プロ意識はビジネスパーソンが見習うべき点だろう。
【緒方 克美】
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