新薬開発に消極的な日本の医薬品会社に新風~武田薬品工業がシャイアーを買収
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国内製薬最大手の武田薬品工業は5日、大阪市内で臨時株主総会を開き、アイルランドの製薬大手シャイアーを約6兆8,000億円で買収する議案を提案した。
非公開で行われた総会では、クリストフ・ウェバー社長が「今回の買収によって研究開発費の資金が増加し、グローバルな競争力が発揮できる」と述べて、株主に理解を求めたという。
この買収をめぐっては、武田薬品工業の創業家の一部から「財務面のリスクが高すぎる」などとして反対する意見が出たが、機関投資家など多くの株主が賛成に回った結果、賛成が9割近くに達し、可決に必要な3分の2を大きく上回って、シャイアー買収が承認された。
またシャイアーも5日(日本時間同日夜)に開催した臨時株主総会で、武田薬品による買収提案を賛成多数で承認。両社の株主総会で承認されたことから、日本の企業としては過去最高額となる海外企業の買収が正式に決まった。クリストフ・ウェバー社長は、「株主がシャイアー買収を強く支持してくれたことをありがたく思う」と述べた。一方、武田薬品の創業家の1人で、今回の買収に反対票を投じた武田和久氏は、株主総会後の記者団に対し「会社の動向をウォッチします」と話したという。
これにより、日本企業の海外M&A(企業の合併・買収)として過去最高となるとともに、早ければ来年1月8日に買収手続きが完了する予定となっている。買収により武田薬品工業の売上高は3兆円を超え、国内製薬企業として初めて、「世界トップ10」の企業が誕生することになる。
新薬が発売されるまで10年近くの歳月と、莫大な投資が必要だという。そのため、日本の医薬品メーカーが新薬の治験申請をすることは少なく、海外の企業がほとんどとなっているのが現状である。
筆者は2005年から「社会保険下関厚生病院」(現・独立行政法人地域医療機能推進機構下関医療センター)の治験委員・倫理委員を務めてきた。その観点から武田薬品工業の意欲的な事業展開を評価したい。
臨時株主総会後の6日の株価は、前日比▲127円の4,113円とマイナスで推移しているが(表参照)、「メガファーマ(巨大製薬会社)」となった武田薬品工業が、今後新薬の開発に、積極的に取り組むことを期待する。
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】
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