業界の未来を見つめた新たな水産への挑戦(前)
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(株) 三陽
別次元の味わいの絶品アジフライが大好評
真アジ水揚げ量で全国トップクラスを誇る長崎県松浦市で水揚げされた真アジのなかでも、とくに鮮度の良いものを厳選したうえで、骨の除去などの処理を行い、生で加工して衣をつけた「魚屋がこだわったアジフライ」。そのこだわりのアジフライを開発・販売しているのが、九州北西部の魚市場を拠点として全国への鮮魚出荷を手がけている(株)三陽だ。
量販店で一般的に売られている従来の他社商品のアジフライは、冷凍したアジを中国へ運んだ後、衣をつけてから再び日本にもってくるという加工スタイルが主流で、値段は安価なものの、味わいも値段に見合ってそれなり…というものが多かった。一方で、同社製のアジフライは鮮魚の状態から加工を行っているため、実際に調理した際の揚げ上がりも、ふっくらと柔らかく仕上がり、肉厚でふっくらとジューシーな別次元の味わいや食感が特長となっている。
現在の消費者ニーズを汲み取り、高質でしっかりとしたおいしさにこだわったアジフライの開発を行い、それを前面に押し出した同社の取り組みは見事成功。各方面からの引き合いが殺到し、全国大手コンビニなどでの取り扱いも決定しているという。こうして増加した需要に応えるため、今では子会社の(株)ウエストジャパンフーヅと合わせて松浦市の水産加工団地内に2つの工場を構え、生産体制を増強。さらにオーソドックスなアジフライのほかにカレー風味などのバリエーション開発にも取り組むほか、イワシやサバのフライなど、新たな商品開発にも余念がない。従来の水産物の卸売に比べて、加工品にすることによって商品の付加価値が上がるのはもちろんのことだが、頭や骨などの今まで捨てていた部分が養殖のエサとして再利用できるなど、トータルで見て効率がアップするというメリットもある。
さらに商品開発と併せて、「超急速冷凍技術(ハイブリッドアイス)」などの新たな技術の研究にも力を入れている。これは、非常に短時間での凍結が可能な冷凍方法で、凍結時に細胞を破壊しないため、解凍時にドリップが発生することなく、生に近い鮮度と食感が保てるというもの。また、冷凍によってアニサキスなどを死滅させることができ、刺身でも冷凍が可能な技術として非常に好評を博している。同社では今後、この「超急速冷凍技術」に対応した商品を増やしていくとともに、設備の増強も検討。さまざまな加工品への導入を進めていく予定だ。
同社の事業としては、依然として卸売部門がメインではあるものの、今後は加工品へのシフトを強めていく方針。海外との輸出入ビジネスも含めて、頑強な事業の柱をいくつも構築していきたい考えだ。
(つづく)
<COMPANY INFORMATION>
代 表:長谷 幸一郎
所在地:福岡市中央区長浜2-3-6 三陽長浜ビル3F
設 立:1992年4月
資本金:1,000万円
TEL:092-718-7834
URL:http://www.sanyo-jp.com<プロフィール>
長谷 幸一郎(ながたに・こういちろう)
1961年生まれ。第一経済大学卒業。業界で経験を積んだ後に独立し、福岡県志免町で三陽商店を創業。92年4月に(株)三陽として法人化し、同社の代表取締役に就任した。関連キーワード
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