2024年11月29日( 金 )

中国の浮上と韓国主力産業の危機(前)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏

 中国は1978年、疲弊した中国経済を立て直すため、中国共産党全体会議で改革開放政策を採用することになる。

 中国の改革開放政策は、隣国である韓国に、経済的に大きなチャンスをもたらした。それは、統計にも良く表れている。

 2001年から2016年までの間、韓国の貿易黒字額のなかで、対中国の貿易黒字額の割合は、何と98%を占めていた。韓国の企業は中国に部品や原料、中間財などを輸出し、中国はそれを加工または組み立てて、先進国に輸出をしていた。

 世界の工場となった中国経済の成長とともに、韓国経済が大きな恩恵を受けるようになったわけだ。韓国の対中国輸出は、輸出全体の35%を占め、中国は韓国の最も大事な輸出相手国になった。

 韓国と中国は1、2年前まで、このような相互補完的な経済関係だった。ところが、中国経済が急成長を遂げ、力をつけるようになったことで、韓国と中国の従来の相互補完的な関係に変化が起こってきており、両国は補完的な関係から、いろいろな分野で競合する競争的な関係に変わりつつある。
以前は韓国が中国に技術を指導する立場だったが、現在、中国は世界的に通用する技術を多数有している。

 中国は2000年に入って、予想以上の大きな成長を遂げているわけである。2017年度の中国の経済規模は、2000年度に比べ、8倍も大きくなっている。中国経済のこのような量的成長は、中国経済に質的な成長をもたらし、中国は先端分野で米国と覇権を争うようになっただけでなく、韓国の主力産業の大きな脅威にもなりつつある。今回は中国の浮上によって現実化しつつある韓国主要産業の危機について取り上げてみよう。

 造船、鉄鋼などの重厚長大な産業分野における中国の攻勢は激しく、価格の面で韓国は中国より劣勢に立たされていたのは周知の通りである。ところが、中国は最近スマホ、半導体、ディスプレイなどの最先端分野でもその力を伸ばし、韓国経済はこのような分野でも中国と激しく競合することが予測されている。

 たとえば、中国のファーウェイは、世界のスマホ市場で販売台数3位になり、サムスン電子に追いつこうとしている。中国スマホの最大手であるファーウェイは、2億台以上の販売を達成し、前年同期比の販売数量で30%の成長をしたと発表している。ファーウェイの2010年度の販売台数は300万台だったので、ファーウェイはわずか8年で67倍も販売台数を増加させたことになる。

 ファーウェイは今年後半の販売台数で世界1位を目指しているようだ。一方で、サムスン電子は過去5年間ずっと販売台数において3億台以上を維持していたが、今年の販売台数は3億台を下回りそうだ。ファーウェイ、シャオミなど中国スマホメーカーが成長を続けているなかで、サムスン電子は販売が伸び悩み、第3四半期までの販売台数は2億2,200万台にとどまっている。このように世界スマホ市場で中国企業の浮上はサムスン電子のシェアを落としている。ファーウェイ、シャオミ、オッポなど、中国3大スマホメーカーの第3四半期の販売台数は1億1,600万台であったのに対して、サムスンの販売台数は7,230万台に過ぎなかった。サムスンは前年比で13%販売台数が減少しているのに対し、中国メーカーは18%販売が増加している。

(つづく)

(後)

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