中国の浮上と韓国主力産業の危機(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
LCD分野では、もうすでに中国企業の脅威が現実になっている。中国企業LCDメーカーの最大手であるBOEは、LGディスプレイを追い抜いて、LCD市場で世界1位に上り詰めている。中国メーカーの供給で市場は供給過剰になり、LGディスプレイは6年ぶりに2018年第一四半期に赤字に転じている。
BOEはLCD市場の次に、将来のディスプレイである有機ELにも狙いを定め、2兆円以上の莫大な投資を敢行している。このような状況は、数年前は予想もできなかったことである。話はこれだけではない。中国が一番力を入れているのは半導体である。中国は現在、半導体の70%を輸入している。2025年までに半導体の輸入を20%に減らすという目標を中国政府は掲げている。まず、大量生産に向いているメモリ半導体に中国政府は力を入れていて、現在はサムスン電子とエスケイハイニックスの独壇場であるものの、将来どうなるか予断を許さない状況である。
中国の半導体企業は2年前からD-RAMとナンド型フラッシュメモリーの生産工場の建設に500億ドルをつぎ込んでいる。中国のYMTCは今年の第三四半期からナンド型フラッシュメモリーの量産を開始しているし、福建省晋華集成電路(JHICC)は来年D-RAMを量産する。
半導体は韓国輸出の約20%を占めるようになり、韓国輸入の稼ぎ頭でもあるが、5年後にはサムスン電子は中国企業の供給過剰で、赤字に転落する日が来るかもしれない。ファーウェイやBOEの過去の歴史を振り返ってみると、決して不可能な話ではない。
すでに、半導体価格も下げに転じている。半導体の市場調査の専門会社であるDRAM Exchangeによると、D-RAMは今年10月に価格が10.74%下落し、11月にも価格は1.64%下落している。
中国は電気自動車分野でも、モバイル世界のトップを目指している。中国は内燃機関の自動車では後れを取っていたため、将来の自動車である電気自動車の開発に意欲を燃やしていた。とくに、電気自動車に欠かせないバッテリーにおいて、中国企業の躍進は目を見張るものがある。設立7年目のCATLとBYDはバッテリー生産で世界2、 3位になっている。とくにCATLの場合、今年の1~10月の販売量は、前年同期に比べ、130%も成長している。
中国企業の台頭によって、韓国のLG化学とサムスンSDIは4位、5位に順位を下げている。中国は安いものを生産する世界の工場というイメージが強かったが、現在の中国は大きく変わっている。とくに、モバイル分野では世界一進んでいると言っても良い。モバイル決済サービス、スマホゲームなどモバイルの利用は日常生活に深く浸透している状況である。多くの人口を有する中国はその強みを生かし、ビッグデータ、人工知能分野でも研究開発に注力している。中国の浮上に対して韓国は新たな戦略で臨まなければならない時期がきている。
(了)
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