国土交通省、ヤマト子会社に行政処分および業務改善命令
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国土交通省は1月23日、宅配便大手ヤマトホールディングス(株)の子会社であるヤマトホームコンビニエンス(株)に対し、同社の引越サービスに関して不適切な請求が存在していたとして、同日付で行政処分および事業改善命令を行ったことを発表した。
【行政処分の内容】
(1)関係する営業支店(123支店)に対し、10日間の車両使用停止処分
(九州地方においては、福岡支店、久留米支店、太宰府支店、福岡西支店、小倉南支店、北九州支店、佐賀支店、佐世保支店、長崎支店、熊本支店、大分支店、宮崎支店、延岡支店、鹿児島支店、姶良支店が該当)
(2)(1)のうち、下記営業所支店については、処分を加重
事業停止7日間:高知支店(1月28日開始)
事業停止3日間:豊橋支店(1月28日開始)、周南支店(1月28日開始)、高松支店(1月28日開始)
(3)(1)のうち、下記営業所支店については、輸送の安全の観点(車両整備、定められた講習の受講を受けていなかったこと)からの処分も併せて行う
車両停止20日車:米子支店、江津フロンティアセンター(すでに廃止のため、東広島支店に対し処分)札幌支店、名古屋北支店(うち10日車は、輸送の安全の観点からの処分)【行政処分にともない、らくらく家財宅急便、快適生活サポートサービス、クロネコおまかせレンタル、特殊輸送サービスを利用できないエリア】
■高知支店(宿毛市、高岡郡四万十町、土佐清水市、四万十幡多郡を除く全域):1月28日~2月3日
■豊橋支店(愛知県蒲郡市、新城市、田原市、豊橋市、豊川市、北設楽郡):1月28日~1月30日
■周南支店(島根県鹿足郡、山口県岩国市、下松市、周南市、光市、防府市、柳井市、熊毛郡、大島郡、玖珂郡:1月28日~1月30日
■高松支店(小豆郡を除く全域):1月28日~1月30日【業務改善命令の内容】
(1)適正な見積りの実施およびそれを担保するシステムの構築
(2)見積り内容と実際の荷物量などとの整合性の確認体制の構築
(3)適切な約款の整備
(4)従業員への教育などの徹底
(5)社内のコンプライアンス確認機能の強化同省の発表によると、(1)社員向け引越サービス「引越らくらくタイムリーサービス」において、実作業時の荷物量が減少した場合や、横持ち作業が発生しなかった場合などにおいて、大部分の営業所で見積り時から請求額の修正を実施していなかった(2)「単身引越ジャストサービス」においても、見積り時に比べて実作業時の荷物量が減少した場合において、請求額の修正を行っていなかった(3)一部支店における個人引越でも、実作業時の荷物量が減少した場合に、請求額の修正を行っていなかったとされている。
こうした一連の不適切な請求について、管理職も含めた多くの従業員が、実作業時の内容に応じて請求額を修正することが必要である旨を認識しておらず、十分な教育研修が行われていなかった点が浮き彫りになった。ヤマトホールディングス広報によると、「マニュアル整備が整っていなかったことから、教育に関してはもっぱら現場のOJTに委ねられていた」という。
一部の支店では、支店長による指示の元で不適切な請求が行われていたことも判明している。高知支店では、特定の法人顧客の引越について、支店長が見積り担当者に対し、「実際の荷物量に対して過大に見積りを行うよう」指示し、特段修正がされることなく請求が行われていた。2018年5月15日に開かれた四国統括支店の支店長会議において同支店の引越作業に関する資料が配布されているが、実際に想定される荷物量が見積り時より上回っていることが容易に判断できる内容であるにもかかわらず、会議に出席していた四国統括支店長らからも、これを是正するような指示はされなかったという。
また、ほかの一部営業所支店では、法人顧客の引越については支店長に相談の上、実際の荷物量に対して過大な見積りがされ、当該見積りに基づいた請求が行われた事案も報告されている。
ヤマトホールディングスとヤマトホームコンビニエンスは同日付でニュースリリースを発行し、「まずは事業改善命令に記載の措置などを速やかに講じ、2月25日までに国土交通省に報告を行うとともに、事業改善命令での指摘事項が解消され、サービスを提供できるよう、全社をあげて取り組む」としている。
【長谷川 大輔】
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