【検証】中洲のクラブ経営者、脱税容疑で逮捕~なぜ脱税行為は起こったのか(後)
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なぜ脱税行為は起こったのか
店舗側はホステスに支払う給与を「報酬」として支給するのが一般的とされ、報酬として給与を受け取った場合、自分で確定申告を行い、場合によっては税金の還付を受けることができる。しかし、中洲のクラブ関係者は、「店舗側は源泉徴収分を差し引いた給与をホステスに渡しているが、ホステス側は源泉徴収されたとしても、内容をきちんと理解していないことも多いのでは」と指摘する。中洲で働くあるホステスは、「給与は現金手渡しで、明細を見ても中身まで気にして見たことがない」と話す。こうしたことから、確定申告を行う必要性はもとより、その仕組みを知らないため、確定申告を自ら行うケースが少ないのではないかと考えられる。
店舗側は給与を報酬として支払った場合、税務署へ支払調書を提出する義務がある(所得税法第225条第1項第3号)。しかし今回の事件では、ホステス側の無知を逆手に取り、支払調書の作成そのものを怠っていた可能性が考えられる。店舗ごとに法人を設立するのも、法人同士、店舗同士のお金の出入りを複雑多岐にすることで、脱税行為そのものを隠蔽しようとしていた可能性が高い。
ホステス側にとっては、「高収入」「副業可」「本業にバレるリスクが少ない」ことが、働くメリットとなり得る。店舗側は表面上、そうしたホステス側の要望を汲み取り、働きやすい職場環境を提供しているようにも見える。しかし見方を変えれば、実は彼女たちの無知(確定申告の仕組みを知らない)や弱み(副業をしていることがバレる)に付け込んだ悪質なケースとも捉えられる。「本来納めるべき源泉徴収分を、自らの懐に入れていた」のであれば、なおさらだ。
今回の展開は
仮に今回の事件が起訴され、裁判の結果何らかの罪となった場合はどうなるのであろうか。過去の判例などを見る限りでは、懲役刑ならびに罰金刑が下される公算が高く、さらには未納の税金に対して追徴課税が課されるケースがほとんどだ。ただし懲役刑に関しては、未納の税金を加算分も含めてすべて納めれば、執行猶予が付くケースもあるという。
巨額の追徴課税を逃れるため、会社を破産させるという方法も考えられよう。しかし、税務署側もそれをみすみす逃すわけではなく、場合によっては会社を潰す行為(破産)そのものが認められないケースも考えられる。仮に破産が認められたとしても、納税義務を逃れるため意図的に会社を潰したと判断されれば、税務署は徹底的に資金の流れを追いかけるであろう。
昨今はデジタル化が進み、現金ではなく電子決済でお金を取り扱う機会が増えている。電子記録によって入出金の記録が残るため、脱税行為そのものを誤魔化すことはかつてと比べて難しくなった。発覚した場合は、さらに罪が重くなる可能性も指摘される。
(了)
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