ブロックチェーンの覇権をめぐる熾烈な戦い 全力で基盤を築き上げ、新たな市場の創造へ(中)
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(株)chaintope 代表取締役社長/(株)ハウインターナショナル 取締役会長
正田 英樹 氏
(株)ハウインターナショナル代表取締役社長
田中 貴規 氏土台となる基盤技術開発の短期決戦を勝ち抜く
――今後、ハウとチェーントープとの棲み分けは、どのような感じになるのでしょうか。
正田 チェーントープはもう完全に“勝負企業”という位置づけで、短期決戦で“新しいブロックチェーン”の設計をしていきます。インターネットでいえば、その基盤技術をつくっていくようなイメージで、ブロックチェーンの基盤技術をつくるというところと、ビジネスモデルをつくるというところに力を入れていきます。
ただしブロックチェーンは、インターネットとは違う成長のモデルです。「プロトコルレイヤー」といわれる仮想領域の、インターネットでいえばTCP/IPみたいなものがありますが、そのプロトコルレイヤーの革新こそが、ブロックチェーンの進化の源泉であり、心臓部です。たとえば今のインターネットは、アプリケーションレイヤーの勝負になっていますが、実はアプリケーションを発達させるためには、ベースとなるプロトコルレイヤーを革新的にしないと、表現できる幅が非常に限られてしまいます。20年前には、こんなスマートフォンのような手元の小さな端末で、さまざまなゲームや動画視聴ができるようになるなんて、想像もしていなかったと思いますが、今ではネットのプラットフォームができたおかげで、アプリ全盛期を迎えています。ブロックチェーンはまだそこに行き着いておらず、20年前のインターネットみたいなものです。まずはその土台となる部分をつくらないと、使える領域が非常に少ない。なので、今は土台をつくっているのですが、これが短期決戦の勝負です。
一方でハウは、チェーントープと協力しながら、具体的なアプリケーションやシステムの開発などを行っていきます。そういう棲み分けですね。
――双方が連動しているわけですね。
正田 業界としての座組が決まってくるのは、ここ1年が勝負だと思っていますので、今後は、まずチェーントープが短期決戦で一気に突破し、その次にハウも突破していけるよう頑張っていきます。
――たしかにここ最近、新たな発表を矢継ぎ早にされていらっしゃいますね。
正田 ここ1~2カ月で、独自トークン・コイン発行のためのプラットフォーム「Inazma」や、電力業界向けにデザインされたブロックチェーンを用いた新たなプラットフォーム「Electrowise」を発表したほか、(一社)DELIAとの提携によるエネルギー業界へのブロックチェーン実装の推進、チェーントープと(株)三菱総合研究所との共同開発、チェーントープと(株)HashHubやFressets(株)との連携合意など、いろいろと発表させていただきました。
あと、まだ詳細は確定していませんが、5月末くらいまでには福岡市内に、ブロックチェーンに特化した大きな拠点をつくろうと考えています。そこでは、ブロックチェーンに特化したコワーキングのようなものをつくり、ブロックチェーンの教育を行いながら、開発の仕事をどんどん集め、「ここに来ればブロックチェーンの仕事ができる」といったようなものをつくっていきます。
――拠点開設にあたって、福岡市を選ばれた理由などは。
正田 行政としても、まず頭が良いですし、発信もうまい、やる気もある、地勢学的に場所も良い――と、全部がそろっているのではないでしょうか。実は福岡は、ブロックチェーンの集積地としては、すでに東京につぐ規模です。
――チェーントープのようなブロックチェーンの基盤技術の開発をされている競合は、何社くらいあるのでしょうか。
正田 少なくとも日本では2~3社しかありませんね。ほかは、やれていないと思います。それはなぜかというと、この基盤技術の開発自体ではお金にならないからです。しかも、開発にあたっては、超優秀な人間を投入しないといけません。社内で一番優秀な人が、まったくお金にならないところをやらなければならない――そんな領域なので、そこをやろうとしている会社や人が極めて少ないというような業界です。しかし一方で、そこを突破した先には、非常に大きな新しい市場、新しいビジネスモデルが生まれますので、我々は今、そこに全力で取り組んでいるところです。
(つづく)
【文・構成:坂田 憲治】<COMPANY INFORMATION>
(株)ハウインターナショナル
代 表:田中 貴規
所在地:福岡県飯塚市幸袋560-8
設 立:1999年7月
資本金:7,756万円
売上高:(18/6)3億1,064万円(株)chaintope
代 表:正田 英樹
所在地:福岡県飯塚市幸袋560-8
設 立:2016年12月
資本金:1億4,504万円<プロフィール>
正田 英樹(しょうだ・ひでき)
1972年7月、山口県光市出身。九州工業大学情報工学部を卒業後、高橋剛氏と2人で(有)Heart at Work(現・(株)ハウインターナショナル)を設立し、モバイル・クラウド導入支援と関連サービスの提供などを手がけてきた。2015年ごろよりブロックチェーンの研究開発を開始し、16年12月に(株)chaintopeを設立。現在、chaintopeの代表取締役社長と、ハウインターナショナルの取締役会長を務める。田中 貴規(たなか・たかのり)
1974年9月、熊本県出身。九州工業大学情報工学部を卒業後、富士通九州通信システム(株)に入社。その後、行政システム九州(株)などを経て、(株)ハウインターナショナルおよび(株)chaintopeに参画。2019年1月にハウインターナショナルの代表取締役社長に就任した。関連キーワード
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