「長期保存ができ、利益の取れる商品を」障がい福祉事業所の挑戦
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障がい者の就労支援とひとくちに言っても、障がい者が対応できる作業は障がいの程度で大きく変わる。障がい福祉事業所には健常者と同等の作業ができる利用者もいれば、複雑な作業ができない利用者もいる。そのような利用者にも就労の機会を提供し、一般就労を目指すのが、これら事業所の役割である。パンやクッキーなどを製造販売する事業所も多いが、多くの場合、低価格での販売となり採算が取れないのが現実だ。事業所にとっては、単純作業でも利益率の高い商品の発掘が必要となる。
福岡市早良区の障がい者福祉施設「いるかワーク・ドックワン」で新たな取り組みが始まった。利用者の賃金上昇のために、取り入れたのは同市中央区の富士経営グループが開発した「消臭芳香剤」。悪臭を取り除き、爽やかな香りを定着させる。消臭だけでなく、香水でもなく、アルコールを含まない安心設計。
同施設では、液体である同商品をスプレーボトルに詰め替える作業が行われている。スプレーボトルの成形に加え、仕入れた消臭芳香剤の液体を定量器でボトルに注入し、スプレーキャップで固定する。商品ラベルを貼れば、商品ができあがる。100㎖で販売価格は1,000円を予定している。「食品には賞味期限があり、ロスも発生するが、同商品にはそれがない」と淵上施設長はいう。
新しい挑戦のきっかけは、偶然の出会いだった。淵上施設長が福岡市内で開催されたギフトショーで消臭芳香剤を購入。自宅のペットのにおいが気になるという理由で手に取ったのが始まりだった。自宅で試した結果、見事ににおいが消え、香りの定着もよかった。価格は市販されている消臭剤よりは高いが、効果は金額以上だと感じたという。「工夫次第では、施設で販売する商材のラインナップに加えることができるのでは?」――そう思った淵上施設長は販売元の富士経営グループとコンタクトを取った。
富士経営グループは想定していなかったところからの引き合いに最初は戸惑いを感じていたが、淵上施設長の利用者への思いに共感し、商品づくりに協力。3月末に山口県で開催される展示会「第44回生協まつり」での販売協力も行う。「卸先の成功が我々メーカーの成功につながる」と富士経営グループは商品開発に積極的だ。携帯用でペンサイズ(10㎖)の商品をノベルティとして販売予定で、現在試作中。ペン型のエチケットグッズとして、世に送り出したい考えだ。「好評を得られれば、福祉施設に製作作業を委託し、社会福祉にも貢献したい」と担当者は話す。
【東城 洋平】
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